3025:制裁を下そう。
おや、何やら前足を差し出した。
「んー? なーに? って地味に痛い痛い」
……珠ちゃんに合わせて手を差し出したお姉さん、ぽふりと置かれたおててからにゅっと飛び出す爪でにぎにぎ刺されてる。
どうした珠ちゃん、何故唐突に危害を加えているんだい。
「ほら、下手に妖精さんの真似しようとするから早速お仕置きされてんじゃん」
「え、これそういうやつ?」
珠ちゃん、それは来るタイミングがちょっと遅いんじゃなかろうか。
いや本当にそうなのかは判らないけどさ。
「もしくはおかーちゃんを困らせるんじゃないって抗議とか」
「良い子だから有りそう…… あ、やめてくれた」
というかお姉さんもお姉さんで、刺されてるのに手を引っ込めずに好きにさせてあげてる辺り良い人だよね。
「お? んすねっ」
「んふっ」
……そっと鬼のお姉さんに近付いたと思ったら突然のぶちかましを仕掛ける珠ちゃんと、防具を付けてない厚手の布一枚の脛にそれをごちんと受けて奇妙な悲鳴を上げる鬼のお姉さんと、その悲鳴がツボに入ったのか変な笑いを漏らす狐のお姉さん。
なんなんだこの混沌とした空間は。
「どれが逆鱗……?」
「判んないけど、おかーちゃんってのが扱いが軽くてダメだったとか?」
おおぅ……と脛を抑える鬼さんの呟きに、笑いをこらえつつ推測で答える狐さん。
うーん、珠ちゃん真面目だし有りそうなラインだなぁ。




