3005:ちょっとやり過ぎよう。
「キツめのやつ、何個かお願いねー」
「はーい」
キツめと言われても困るんだけど、まぁ経験上そう意識してればなんとかなるんだろう。
ならなかったとしても元々キツいんだから問題は無さそうだし。
というか一個で十分だと思うんだけど、残りはどうするつもりなんだ。
いや足りなかったら困るから過剰に頼んでるだけか。
……むしろ足りずに寝るだけになっちゃったら私がトドメを刺す羽目になりそうだし、遠慮しない方が良さそうだな。
よし、出来るだけ強い効果を意識して……
「あ」
むぅ、ぴゅっと出したのは良いけど器が小さすぎてちょっと溢れたな。
とりあえず器の方は変形させて包み込んでおいて、手に着いたのは……まぁそんなに多くもないんだし、すぐに乾くから大丈夫かな?
あ、でもこれ揮発してるんだから近くに居ると危ないのかな。
なんかちょっとふわっとする気がしてきたし、手は前に出してなるべく顔から離しておこう。
自分が出した麻酔薬で気絶して墜落死なんて情けない事はしたくないしね。
……ん?
「……あれ、これもしかしてやらかし案件ですか?」
「うん」
なんか気付いたらロシェさんがかなり遠くに避難してるし、周りに居た人達も同じくらい遠巻きになってる。
麻酔の効果を強くしようと思い過ぎたせいで、ちょっと漏れた分のガスだけで私の周りがヤバい空間になっちゃってるんだろうか。
というかロシェさんは別に逃げなくて良かったのでは。
いや、半端に効いてうっすら意識があるまま落ちたりするのは怖そうだからそりゃ逃げるか。




