3003:余分なダメージは癒してあげよう。
あ、隠密さんがお兄さんから離れてロシェさんにお辞儀してから帰っていった。
いつもながらあんなにでっかいのに一瞬で消えちゃうんだから凄いなぁ。
「水くれ……」
「ごめんさっきのやつしかない」
「液体ですらねぇ……」
「いやギリ液体だとは思うけど」
いやお兄さんは口の中の味を何とかしたいんだろうし、ドロドロしてなかったとしても要らないでしょ。
「ほいほい、ここは私がなんとかしてあげよう。ほらこれ持って」
うん、新鮮な水が欲しいとくれば【妖精】の出番だね。
魔力ででっかいコップを作って、お兄さんにぽーんと投げ渡してあげてる。
「おう、助かる…… 半分……三分の一はお前のせいだけどな……」
「ちゃんと自分の非も認めてて偉いので、優しい妖精さんは許してあげるのだ」
あぁ、ロシェさんとお兄さんとお姉さんの三等分ね。
正直お兄さんの非はそこまで大きくないと思うけど、当のお兄さんが言ってるんだし部外者は黙っておこう。
あとどうでも良いけど「妖精さん」を自称するとまた文句言われるんじゃないかな。
当の妖精さんとしてはむしろ代わってほしいくらいなんだけど。
「あと流石に同情するからね」
「一口貰ってみ……?」
「絶対やだ」
……うん、わざわざそんな苦行に踏み込む必要は無いよね。
怖いもの見たさだとしても中々にハードルが高い。




