3002:自力でなんとかしよう。
「んむぉぉぁ」
「あー、うん、死ぬほど苦いよねー。でも出させないよー」
……お姉さん、めっちゃ良い笑顔だね。
お兄さんが吐き出そうとしてる玉を、手袋を付けた手でぐーっと押し込もうとしてるよ。
「ほらほら、さっさと呑み込んだ方が身の為……って噛もうとしないでよ」
流石にふざけんなって顔で抵抗するお兄さん。
でも喉に物を押し込まれた状態だと、噛みつくのも難しそうではある。
「開いたままでは呑み込み辛いのでは?」
「あ、そっか」
「ふざけんなよマジで」
隠密さんに言われてお姉さんが手を抜いたら、喉を塞いでた玉を口の方に戻して言葉で抗議するお兄さん。
単に抗議しようにも喉が塞がれてて喋れないし体の動きは隠密さんに封じられてるしで、それしか動き様が無いからだったらしい。
まぁ言葉でって言ってもピンポン玉サイズの塊を口に入れてるから、全然言えてはいないんだけど。
「んっ……ぐあマジきっつ」
「おー、凄い凄い。よくあんなの呑めたなぁ」
おぉ、お兄さん頑張った。
あまりにもマズいのに吐き出させてもらえないからかなり無理した感が有るけど、とりあえずはなんとかなったらしい。
ところでお姉さんがちょっと残念そうなのは何なんだ。
無理だって言ったところに手を突っ込んで無理矢理押し込んだりしてみたかったんだとしたら、割と邪悪だと思うよ。




