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2989:立ち位置はハッキリさせておこう。
絵具から出てる脚がべしょっと力無く倒れて沈んで……は行かないか。
あ、でもちょっとずつ沈んで代わりに上半身が浮かび上がって来たな。
……両手で頭を押さえてうねうねしてる。
何気に結構な大ダメージが入ってたらしい。
「んぼぇっ」
ん?
あ、拭わないまま口を開こうとしてちょっと入ったのか。
女の子の口から出るのはどうかと思う声だけど色々と大丈夫かな。
「いおぃえぃあっあー」
「解んないです」
母音だけで喋られてもなんとなくしか察せないぞ。
私はカトリーヌさんと違ってそこまで察する能力に長けてないんだ。
「んんっ…… 酷い目に遭ったーって言ったんだよう」
「いや今のは完全にただの自滅だと思いますよ。普通に足からゆっくり入れば良かったじゃないですか」
「むぐぅ」
両手で前髪を上げてから顔の余分な絵具を落として、被害者っぽいボヤきをこぼすロシェさん。
でもどう考えてもお姉さんも周りの人も何も悪い事はやってないので、私が代表して正論パンチを叩き込んでおこう。




