2912:予防策を打ってもらおう。
「あ、そうそう妖精さん」
「はい?」
突然振り返って声をかけてくるエニュアンさん。
後ろ向きに飛ぶのは危ないと思うけど、まぁすぐ前にエクセルさんが居るから大丈夫か。
「妖精さんってトレーニングとかには興味無いわよね?」
「まぁ……興味っていう程のものは無いですね」
別に体を動かすのが嫌って事は無いけど、進んで必要以上の運動をしようとまでは思わないかな。
現実の私って基本的に家でごろごろしてるから、その必要な分の運動も不足気味な気がしなくもないけどさ。
登下校で多少は歩いてるんだし、ぷよぷよになってはないんだからまだセーフという事にしておこう。
「それじゃ、一緒に行くのは少し手前までにしましょうか」
「それは構いませんけど、何か有るんですか?」
「妖精さん、なんかゴリラ達に流されてそのまま巻き込まれそうだから……」
「……流石に大丈夫だって言いたいけど、ちょっと軽い運動するだけならって事になっても不思議では無いですね」
確かにそれは否定しきれない。
いつもみたいに話の流れで、それじゃあ試してみようかって流れに乗せられる未来が見えてしまうぞ。
お家に有る物を使った初心者向けトレーニングとか伝授されちゃったりしそうだよね。
いやそれは別に悪い事ではないんだろうけどさ。
「その割に結構良い体してるよねぶっ」
「くすぐったいからいきなり揉まないでください」
そっと背後に回って人の脇腹を両手でもみもみしてくるロシェさんに、出来るだけ下側に向けた翅で顔をべチンと挟んで反撃しておく。
「どんどん遠慮が無くなってきておねーさん嬉しいよ。あと宣言してからなら揉んで良い?」
「だめです」
「ちぇ」
そりゃそんなグイグイ来られたら、こっちの遠慮もどっか行っちゃうでしょうに。
というか別に、元々そこまで遠慮してなかった様な気もするんだけど。
かなり早い段階でこの人も変な人だなってなってたし。




