2787:誰か言ってよと思おう。
ん? あれ?
「ってロシェさん、いつの間に合流してたんですか」
「実は結構前からずっと後ろに居たよ」
「気付いてなかったのか……」
……アヤメさんの呆れた視線に、何も返す言葉が無いんだけどどうしたものか。
【魔力感知】に意識を割いてれば【妖精】の魔力に気付かない筈が無いんだから、すぐ死ぬ癖に油断し過ぎだって言われて当然だからどうしようも無いな。
私に出来る事はなんで黙ってついて来てるんだってツッコむ事くらいだけど、今それを言うと「いやすぐ気付くと思ってたんだけど」って返されるのがオチだからやめておこう。
「まぁそれは良いとして」
「あ、逃げた」
ええい、追及するんじゃないロシェさん。
「さっさと…… 許可が出たんだね」
「大人しいねぇ」
邪魔になるしお店に入ろうよと言おうと思ったら、入り口から顔だけ出してるわんちゃんの頭の上にういろうちゃんの姿が。
多分ちょっと後ろにすあまちゃんも乗ってるんだろうなぁ。
急に頭に乗られてるのに嫌な素振り一つ見せずに、どうぞどうぞといった感じの顔で伏せたままのわんちゃん。
うーむ、穏やかで優しいっていう大型犬のイメージを体現したかのような良い子だなぁ。




