2641:床を助けてあげよう。
「だから買い過ぎって言ったじゃない。さっさと回収してきなさい」
「どれも使うんですよぅ」
「知ってるわよ。でもそういう問題じゃないって言ってんの」
あ、思った通りだった。
エクセルさん、宿のお姉さんにすみませんと頭を下げつつしょんぼり中へ……
「言っとくけどまとめて運ぼうとするんじゃないわよ」
「大丈夫、解ってますよ」
……まぁうん、荷物だけで床がマズい事になってるところにエクセルさん本人まで一緒になるとねぇ。
というかそれって部屋に入るのは大丈夫なのかな……?
あ、すぐに抜けたりするレベルなら宿の人に言われる前に壊れてるか。
全部まとめた重量が一点に集中するのは流石にヤバいって事だろうね。
「えっちゃーん」
「何よ。ってか窓有るんだからそんな大きな声出さなくても聞こえるわよ。あとえっちゃんはやめなさい」
あ、一応抵抗してる。
無駄だと解ってるって感じだけど。
「窓から出すので受け取ってもらえますかー?」
「はいはい」
おお、巨大な金属の円盤がにゅっと差し出されてる……
棒にセットして重量を増やすパーツなんだろうけど、それは片手で端を持つ物じゃないと思うんだ。
まぁあのダンベルを片手でひょいひょい扱ってた人なんだから、別に不思議ではないけどさ。
「お手伝い出来なくて申し訳ございませぇん……」
「私達の荷物なんだから大丈夫……っていうか怖くて持たせられないわよ……」
……この人、抱えたまま仰向けに倒れて「助けてくださぁい……」って事になりかねない雰囲気だしね。
まぁこの世界の人達って見た目に反して意味が解らない強さだったりするから、この人もそうだったり……はしなさそうだなぁ……




