2572:お仕事を進めよう。
「あっはい、ごめんなさい」
「ん?」
「妖精さんの手を叩いたりしてはいけませんみたいに叱られちゃった」
「あー」
……映像でしかないし本物だとしても別にそのサイズ差なら……というか同じサイズだとしてもその位は気にしないんだけど、まぁリアン的にはアウトなんだろうな。
「おっほほ」
「うわ気持ち悪っ」
「直球過ぎるけど今のは文句が言えない」
うん、急に頭の辺りに両手をやって驚きと喜び半々みたいな声を出されると言いたくもなるよね。
周りからは何も見えてないから余計に。
「でもこんな綺麗なおねーさんに『ちゃんと謝れて偉いですね』って優しくなでなでされたら仕方なくない?」
「んー…… なんとなく解らなくもないけど微妙なライン……?」
「えー」
まぁ確かにうん、あんな声まで出すかと言われるとね。
しかも実際には触ってないから感触とかも無いはずだし。
まぁ目に見えてる情報から頭が勝手に感触を作っちゃう事だってあるだろうけどさ。
あ、苺は今ので終わりかな?
それじゃ待ってもらってた人達に蜜を売るお仕事に移るとしようか。
まぁ途中から私が食べ終わるのを待ってるというより、なんか変な事になってる兎さんを見る集団と化してる気もするけど。
「おひょー」
「だからなんなの」
今度はつい出ちゃったって感じじゃないし、わざと変な声出したっぽいな。
「でっかい妖精さんに指で撫でてもらえた」
……それそんなに喜ぶ事なのかな。
そりゃ嫌がられるよりは良いけどさ。
「お? なんか暗転した……と思ったら場面が変わったね」
「はいはい、今度はどこに居るの? って、妖精さんの手伝いしないと」
「よろしくー。あ、現在地は何処かは判らないけどちょっと浮いてる妖精さんの足下だね。いやーほんとでっかいなー」
……上ばっかり見て下は見なくなってたから高い場所ではないだろうと思ったけど、もうちょっと離れても良いんじゃないかと思うんだ。
見上げてる角度からして言葉の通りほぼ真下に居るでしょそれ。
「本当綺麗だよねー。私妖精さんのあんよ好きだわー」
「わかる」
「解らなくて良いんで列整理お願いします……」
いやほんと、頼むから変な褒め方しないでくれないかな。
というか狐さんはツッコミ側に居てくれないと困るんだよ。
「解りますわ」
「はいはい、そっちも蜜の準備しようね」
しっかり乗ってきた横の変な人は雑にあしらっておこう。
多分それはそれで喜ぶだろうし、楽なんだか面倒なんだか判らない人だよ本当に。




