2570:置かれている状況を説明しよう。
おや、リアンが兎さんの前から少し下がって離れたな。
今は幻の方だけで本体の姿を見せてなくて、うっかり動いた兎さんに頭突きを受けたりしない様にって事かな?
というかリアンにとってはそれなりに高い場所だろうに、よくあの小さい足場を全く見ずに後ろに歩けるな。
まぁそのくらいの自信は有る……事以上に、あのくらいなら落ちても大した事が無いから別に気にしてないのかな。
ラキもよくあれ以上の高さから元気にダイブしたりしてるし。
「おうっ」
「なになにいきなりびっくりした」
なんだろう、不安定な足場の映像でも見せられたのかな。
普通の正座から突然地面に手をついて揺れに備える感じの姿勢に移ったけど。
まぁ実際に揺れたりはしないんだからその必要は無いんだけど、つい反応しちゃうんだろうね。
というか自分の方が揺れちゃう可能性は有るかもしれないから、別に無駄では無いのかな?
「おー……」
「傍から見るとなんか熱心に地面見てる人だよ」
「仕方ないじゃん」
幻の中での現在地が高い場所になってるのか、下の方を覗きこむ動きをして狐さんにツッコまれてる。
なんかそれっぽいヘルメットか何かをつけてたらまだ察せそうだけど、流石にそんな物の用意は無いからなぁ。
「よし、それじゃこうしよう」
「何か有るの?」
おや、丁度良い物でも持ってるのかな?
狐さんが鞄に手を入れて…… なんか小さめの黒板が出てきたけど、なんでそんな物が鞄の中に。
あ、なるほど。
そのスタンドに乗せて立て看板にするんだね。
狐さん、普段は露店でもやってるのかな?
「ほいほいっ、と」
カカカッと手早くチョークで書き込んで、トンッと兎さんの前に設置する。
何て書いたのかな……ってちょっと待った。
「え、何?」
「これで大丈夫だから気にしなくて良いよ」
「そう?」
いや私が大丈夫じゃないんだけど。
「妖精さんのおもちゃ」は濡れ衣だよ。
私が召喚した子がやってるんだから、間接的にはそうかもしれないけどさ。




