2567:おはなしをしよう。
「えっ、あっ、はい。これお説教されるやつだ」
……なんか通行の邪魔にならない屋台の間に座らされてる。
別に素直に従う必要は無いと思うけど、まぁ付き合うのも遊びの内なんだろう。
「えーと…… あ、私はセーフか」
「うらぎりものー」
「いや私は何も言ってないし……」
狐さんは後ろから感想を呟いてただけだから、特に叱られる理由が無いもんね。
というかそもそも裏切るも何も、最初から味方じゃない様な気もするし。
「あ、そっちの代理よろしく」
「仕方ないから良いけどさ……」
あ、私が食べ終わってもまだ続いてるって想定なんだ。
そういえば狐さん、さっき私の声を聞き取ってた様な気がするな。
しかし毎度の事ながら、リアンは喋れないのにどうするつもりなんだろう。
「おー、そんな技が……」
能力で作った透明な足場の上を静かに歩いて、大人しく座って待ってる兎さんの顔の前へ。
やっぱり普段は優雅というか清楚というか、普通に綺麗なお姉さんなんだよなぁ。
いや普通って言うにはちょっと、色々とでっか過ぎる気もするけど。
「うん? あれ?」
「何?」
なにやら兎さんがリアンの方を見ながら目を閉じたり開いたりぱちぱちしてる。
私には何も見えないけど、またリアンが何かやってるのか。
「空気読みスキルを駆使しないとって思ってたら、こういう手段があるんだ……」
「だから何なの」
あ、どうするんだろうとは兎さんも思ってたんだな。
ただどうでも良いけど兎さん、そんなに空気を読む事に自信が有るんだろうか。




