2562:心のままに口を動かそう。
「お、早いね」
ちょっと相談してる様な雰囲気になったと思ったら、すぐにみけちゃんが手を挙げてきた。
何でも良いから任せますって感じではなかったし、話し合うまでも無く同じ好みだったのかな?
「えーと……? あ、苺かぁ」
みけちゃんが指した辺りに視線を移したタイミングで、ふわっと浮かせて示してくれた。
あ、おばちゃんが切ってあげるからこっちに渡しなって出してる手に飛んで行った。
なんか急に苺が飛んだりしても、一切戸惑ったりしないんだよなぁ。
「美味しく健康的で、みけ様のイメージを損なわない良い選択ですわね」
……カトリーヌさんのコメントにみけちゃんがふいっと目を逸らした。
まぁ野菜や果物なら大体何を選んでもおしゃれな理由付けは出来るだろうし、別に気にしなくて良いんじゃないかな。
「葉酸もようさん入って……いえ何でもありませんわ」
「カトリーヌさん?」
「……」
「カトリーヌさん?」
どうしたカトリーヌさん、ちゃんとこっちを見て返事をするんだ。
中途半端で逃げちゃダメだぞ。
というか今のは言い方で多分「沢山」の方言みたいなものだってなんとなく察せたから良いけど、全く通じなかったらどうするつもりだったんだろう。
いや、カトリーヌさんにしては珍しく無かった事にしようとしてるし、むしろ通じない方が良かったのか?




