2503:訓練の提案をされよう。
「というか人形に関節技って意味有るのかな」
「それは言わないお約束ですわ」
カトリーヌさんの人形にアームロックを極めているリアンを見て、ふと思った事をそのまま口に出す。
パーツを組み立てて作った人形ならともかく、これ粘土を人の形にして動かしてるだけだから逆に曲げたら逆に曲がるだけだよね。
「そもそも、それを言ってしまうのであれば打撃や投げ技なども同じ事ですので」
「まぁそれもそうか」
殴られたり潰されたりしても形が変わるだけなんだから、結局やり方の違いでしかないんだな。
逆に曲げられるから関節技だけは無効ですとか言うなら、なんでわざわざ人型にして操作してるんだって話になってくるし。
「おう、ちょっと良いか?」
「はーい。どうしました?」
打撃練習を終えてラキに八本脚での歩き方を教えてもらってたところで、ジョージさんが声をかけてきた。
我ながら何を練習してるんだろう。
「とりあえず終わったんだがな」
「あ、はい。それじゃ元に戻しますか?」
「いや、丁度良いからそれ使ってちっと稽古でもつけてやってくれ」
ん、それって仮設リングの事かな。
という事は、リアンにサフィさんの相手をさせてって話だね。
リアンが良いなら私は構わないんだけど……
「なんか向こうから『やだーっ』って聞こえてきてますけど」
「気にすんな」
いや気になるよ。
どうせやる羽目にはなるんだろうけど。




