表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/3641

25:魔力を操ろう。

 ホールでライサさんを探し、中庭を使えないか聞いてみる。


「はい、解放されておりますので役場が開いている間はご自由にお使い頂けますよ」


 あ、そうだ。召喚獣を連れて入ってもいいかも聞いておかないと。

 ずっと表に居て貰うのも申し訳ないし。


 さっき出た時、凄い気持ちよさそうに寝てたけどね。


「他の人の迷惑にならなければ問題ありません。

 但し、図書室や食堂などへ連れて入るのはご遠慮下さい」


 それは仕方ないね。 それじゃ表に珠ちゃんを呼びに行こう。



 相変わらず幸せそうに寝てる。ちょっとかわいそうだけど起こそう。

 お日様で温まった背中にダイブした。うはー、きもちぃー。ぬくーい。


 はっ、いかんいかん。このままじゃ寝てしまうぞ。

 珠ちゃんも起きたみたいだし中庭に行こう。



 ホールを横切り中庭へ向かおうとしたらライサさんに呼び止められた。


「あの、白雪様。 その子を撫でさせていただけませんか?」


 仕事しなくていいのか。

 他の職員さんに凄い見られて…… あ、これ違うわ。「私にも触らせろ」って目だわ。


 よしいけ珠ちゃん、頑張って愛想を振りまいてくるのだ!

 決してお姉さま方の愛でさせろってオーラに怯えた訳じゃないからな!




 珠ちゃんを預けて(生贄にして)一人中庭へ入る。ドアは開放しておいて貰った。

 【魔力操作】の練習をする前に、さっき蜜を取った花に【施肥】を使って回ってみよう。

 どうせ私のHPなんて飾りだし、経験値稼ぎにもなる。


 ……飾りじゃなかった。傷が出来たりするわけじゃないけど、ある程度減ってくると疲労感が出てきた。

 風邪を引いた時みたいに体力がなくなっているのを感じる。

 五割くらいになるとはっきり解る程に消耗したので、そろそろやめておこう。



 回っている間に少し気になってたんだけど、花壇の中にいくらか雑草が混ざっている。

 枯れても問題ないだろうし実験台にしてみようか。


 木から樹液とか採れるみたいだし、草に使ったらどうなるか試しに【蜜採取】を使ってみよう。

 蜜と違ってサラサラの液体が出てきた。

 試しに舐めてみる。 うわ苦っ。青臭っ。 なんていうか、透明な青汁って感じだ。

 この草の絞り汁とかがこんな感じなんだろうか。 試したくはないが。



 次に【吸精】してみる。

 魔力とかは籠ってないだろうけど、MPが無くなってる生物にも使えるとかあったし何か吸えないかな?


 あんまり口を付けたくはないけどMPが吸えたら勿体ないので口から吸いこむ。

 うぇっ。 さっきと同じような苦みが来た。

 でも少しだけMPが回復した。

 一瞬吸っただけだが草は萎れてしまっている。


 手から吸っても味はするんだろうか。 萎れた草から更に吸い取ってみる。

 お、大丈夫だ。味はしない。 マズい物は口以外で吸う事にしよう。

 一秒程で草は完全に枯れてしまった。

 それでも更に吸い続けてみると先端からボロボロと崩壊し始めた。水分はどこへ消えたのか。



 これは良い。 MPを回復しながら雑草の処理が出来るぞ。

 この残骸は放っておけば土の足しにはなるかな?



 っていうかこれ、人とかにやったら大変な事になるんじゃ……

 まぁ攻撃に使おうとしても蚊みたいに手でペチッて潰されて終わりだろうな。

 それに蚊と違って普通に動くだけで振りほどかれるだろうし。


 そういえば毎回肌に直接触れて吸ってたけど、間に服とかを挟んでも吸えるんだろうか?

 試しにキトンの背中のダブついてるところを持って、四枚分くらい重ねて雑草を掴んで使ってみる。

 ……ダメっぽい。一枚なら行けたけど、元々少し透けて見えるくらい薄い布だから殆ど直接触ってるようなものだし。



 近くの雑草は全部吸い尽くしてやった。

 最初から全力で吸ってやると一秒くらいで崩壊し始めたので、大して時間もかかっていない。

 途中でまたレベルが上がったらしくちょっとだけ回復量が増えて、崩壊も早まった。

 一本は大したこと無くても一杯吸ったから結構回復出来たな。



 さて、花壇の手入れやってないでいい加減本来の目的に移ろう。

 集中してる時に誰か来てもうっかり蹴り飛ばされたりしない場所…… このまま花壇のふちでいいか。


 身体の中に流れる魔力を感じ取るところからだったか。

 図書室でやったように目を瞑って自分の身体の中に意識を集中する。

 うーん、魔力……どれだ? あっ、【吸精】の時に流れ込んでくるアレか?



 離れた場所にはまだまだ雑草はあるから、流れ込んで来た物が身体の中でどうなっていくかに集中しつつゆっくり吸ってみよう。

 

 んー…… 右手から入ってきて……

 胴体に入ったあたりでバラけて消えていってる……?

 いや、これは…… 消えてるんじゃなくて私に溶け込んでいってるのか……?

 あ、無くなった。次だ次。



 次からはさっきの溶け込んだ先を頑張ってたどってみよう。


 ……うん、何となく心臓の位置に向かって流れて行ってる気がする。

 おっ、これは……? これか!!


 一旦気付くと何故先ほどまで気付かなかったのか、というくらいに体の中を巡る魔力を感じ取れる。

 これ、慣れないとちょっと気持ち悪いな。


 なお気付くまでに三十本近い雑草さんが犠牲になりましたとさ。




 さて、次はこの魔力を操作出来る様にならないといけない訳だ。

 とりあえず最初に居た場所に戻って、座禅を組んで瞑想してみる。


 ただ、座布団のような物が無いので【浮遊】で少し浮いた状態を保つ。

 なんか絵面が宗教っぽくなってる気がするけど気にしてはいけない。


 呼吸の代わりに魔力の流れに意識を預け、精神を落ち着けていく。目は閉じてしまおう。

 どれくらい時間が経ったのかも解らなくなった頃合いで魔力の操作の練習を始める。



 まずは一番魔力の流れの多い胸部に集中する。

 全身に流れていく魔力のうちの一部を胸郭内に留めて、その場を巡らせるイメージで。

 今度はそれを束ねて左腕を通って左手へ。

 指先まで届いたら組んでいる右手へ流して胴体へ戻す。

 三周ほど繰り返した後、胴体へ戻さず組んだ両手の中で回す。

 回しつつ更に魔力を流し込んで量を増やしていく。

 纏めた魔力をゆっくりと胴体へ戻し、解放して全身へ巡らせる。

 

 ……ってあれ?



 出来てるじゃないか!!

 すぐに気づけよ私! いくら集中してても遅すぎるだろ!

 いや、すぐに気付いたら身に付かずに最初だけで終ってたかもしれないけどさ。



 まぁ出来たんならそれはそれでいいや。

 その分他の事が出来るって訳だしね。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ