2489:遠慮なくやってもらおう。
頭の上で謎のダンスを披露されたり背後から毛並みを整えられたりと先輩たちに翻弄されるみけちゃんを眺めながら訓練を続けていると、中庭のドアが静かに開いてコレットさんが姿を現した。
「あ、どうもー。終わったんですか?」
自分で言っておいて何だけど、終わったから連れて戻ってきてるんだろって話だな。
いや、長引きそうだから中断して後日改めてって可能性も無くはないけどさ。
「はい。こちらでよろしいでしょうか」
「そうですね。ありがとうございます」
一応の確認に頷きを返して、リアンを他の子達と合流させてもらった。
本当なら手を止めて受け取りに行った方が良いんだろうけど、それをやったらリアンもコレットさんも困りそうだからなぁ。
いや、という事は行かない方が良いんだからこのままで正解なのか。
私の小物精神は不正解だって言ってるけど、そこは頑張って割り切るとしよう。
役目を終えて立ち去るコレットさんに手を振って、お疲れ様でーすと見送っておく。
運んでもらったお礼の【妖精吐息】を吹きに行っておきたいけど、それも我慢しておこう。
そもそも移動したのも向こうの都合だったんだから、別にお礼は要らないのかもしれないけどさ。
「しかしまぁ勝てないなぁ」
「日々精進ですわ」
【人形術】や【傀儡術】の訓練でカトリーヌさんと土人形で戦ってるけど、相変わらず連戦連敗の良いとこ無しだよ。
元々私より上手だったし、慣れて上達していく速度もカトリーヌさんの方が上だからなぁ。
まぁ重要なのは操作に慣れる事で勝たなきゃいけない訳じゃないし、負けの中から学んでいくのも訓練だから良いんだけどさ。
せっかくなら少しくらい良いところを召喚獣の子達に見せてあげたいところだけど、それは気長に待ってもらうとしよう。




