2485:見やすい位置に移動しよう。
あ、戻り際に【妖精吐息】でお礼してる。
後払いすれば良いってもんでもないと思うけど、何もしないよりはマシだろうね。
まぁそもそもお姉さんはちょっと困ってただけで怒ってないし、むしろ吹いてもらえて得したっぽい顔してるし。
「ほれ、さっさと使っちまえよ。お互いにやる事は有るんだからな」
「あ、そうですね」
何やってんのあの人って顔してないで、サフィさんに追加の魔法をかけておかないと。
ぼーっとしてたら私まで何やってんだあいつって顔をされてしまう。
「へいへーい」
……なんかこっち見て反復横跳びしてる「何やってんだあいつ」な人がもう一人居るけど、狙って何かを飛ばしたりする訳じゃないので気にせず発動だ。
なんで普段全然動かないのに、こういう時だけ無駄に元気なのさ。
「ちぇー」
「変に抵抗してないで、さっさと済ませちゃいましょうよ」
逃げようとしても無駄というかもう準備は終わっちゃってるんだから、潔く諦めるしか無いんだしさ。
パパっと終わらせて普段通りのお仕事に戻った方が、幾分かマシだと思うよ。
「この上の方が見やすいだろ」
おや、ジョージさんが小さめのテーブルを持ってきてくれた。
確かに地面に居るよりは少しでも高い場所の方が、離れた場所からでも見やすいだろうね。
ん、自分達の為なんだから持ってきて「くれた」ではないのかな?
いや、別にそんな細かい事はどうでも良いんだけどさ。
というかデータを欲しがってる側じゃないけど私も当事者なんだから、別に「くれた」で問題無いのか。
「ではサフィさん、上までお連れ致しますわ」
「わーい」
こっちが心底どうでも良い事を考えてる間に、カトリーヌさんがサフィさんを運んであげに行ってた。
放っといてもお姉さん達が捕まえて乗せそうだし、一本足のテーブルじゃないからサフィさんなら自力ですいすい登れそうだけどね。
あと移動させるだけなら、【空間魔法】で飛ばすっていうのが一番手っ取り早いかな?
魔力の消費を考えたら【妖精】以外じゃそんな選択肢は無いだろうけど。
「むぎゅー」
「申し訳ありませんが……」
……あぁうん、カトリーヌさんがお姫様抱っこするとああなるのね。
上だと位置が高過ぎるし前に出すと胴体から離れ過ぎて重いだろうから、抱っこした上に乗せて一緒に持つって選択肢になるんだろう。
ほんとあれ、一体両方合わせて何キロくらい有るんだろうね。
というか前が難しいなら翅は動かしづらくなるけどおんぶで良くない?




