2419:毎回困ろう。
「それじゃ戻る前に、っと」
はいはいと全力で主張してくるクリスを、シルクの袖に手を突っ込んで撫で回しておく。
うーむ、お肌は綺麗だし鱗はつるつるで手触り良いし、健康そうでよろしい。
まぁ全力でって言ってもクリスの全力だから、大人しい時のラキよりも控えめかもしれないんだけど。
「はいはい、今はクリスの番だから我慢しようね」
とか思ってたらラキが撫でに混ざろうとしてきた。
あ、私に撫でられるの諦めてクリスを撫でる側に回った。
「で、枠は空いた訳なんだけど……」
「どうしたの?」
「いや、名前どうしようかなって」
「あー」
撫でてる間も一応考えてはいたんだけど、何も良さそうなのが思い浮かばないんだよ。
もう細かい事は気にせずに、普通の一般的な名前で良いのかもしれない。
いや、多分最初からそれで良いんだろうけど。
「そもそもどういう子なのか判らないから、名前の方向性も決められないんですよね」
「まぁねぇ」
ねこたうろすくらい判り易かったらいいんだけど、今回はなんかお姫様っぽい雰囲気しか察せられないし。
完全な動物タイプのつもりで名前を付けたらほぼ人でした、ってなると微妙な空気になりかねないから困る。
いや、多分どんな名前でも本人は気に入ってくれるんだろうけどさ。
プリンセス……プリンちゃん……は無いな。
実際にそういう名前のペットはいくらでも居るだろうし問題が有る訳じゃないんだけど、なんか無いな。




