2360:立場を弁えてもらおう。
何故ここでとかベンチじゃ狭くないのかなとか色々と疑問は有るけど、まぁ気にしてもしょうがないのでスルーしておこう。
別に何か悪い事してる訳でもないし。
「むー」
ん?
なんか唸ってるな。
あ、顔の上に居た子がもそもそと横に降りてる。
そろそろ苦しいよって合図……
「んねこちゃんの気配っ!」
「おわっ!?」
いや本気でビックリするから、急に叫びながら起き上がらないでくれないかな。
体に乗ってたねこちゃん達は飼い主のそういう挙動は慣れっこなのか、横に降りたり脚の方に転がったりして難を逃れてるっぽいけどさ。
多分顔の子が降りた時点で大体察してたんだろうな。
「あっ、急にごめんねー」
「いえ、大丈夫です」
少し離れてるし聞こえてるかも判らないしで、例によってジェスチャー込みでお返事しておく。
なんかその内これが癖になって、現実でもやっちゃいそうでちょっと怖いな。
いやまぁ会話をする相手は家族だけなんだから、やらかしたとしても大して問題は無さそうだけど。
「今ちょっと良いかな?」
「え? あ、はい。ちょっとくらいなら問題無いですよ」
指で耳を指して聞こえてるよーって合図を送ってくれたので、普通に喋って大丈夫そうだね。
一応家に帰ってめーちゃんに挨拶しに行く途中ではあるけど、この会話も聞いてるだろうし手はもう振ってるし。
「よしみんな、妖精さんにふわふわを提供……ってあれ?」
「おぉ……あれ? ……あー、うん、そっかぁ」
どうやら自慢のねこちゃん達をモフらせてくれるつもりだったらしいんだけど、当のねこちゃん達は何やら非常に緊張した雰囲気でぽてぽて歩いてきて、私達から少し離れた場所で綺麗に整列してお座りしてしまった。
どうやらねこちゃん達、同じ猫系のみけちゃんに委縮しちゃってるっぽい。
同じ高位種族の【吸血鬼】が召喚したえるちゃん達でさえ見た目は普通の仔猫な珠ちゃんにあれだけ縮こまってたのに、普通の人の召喚獣と更に上位種?の大人なみけちゃんだもんなぁ。
「いやいやみけちゃん、普通にしてもらって大丈夫だからね」
ぴしっと姿勢を正してお座りしてた子達が、綺麗に揃った動きで伏せて頭を下げてきちゃったよ。
ごめん寝みたいなポーズで可愛いんだけど、どう考えても頭が高いですよみたいな圧力かけたでしょ。
忠誠心が高いのは良い事だと思うけど、私はそういう偉そうなキャラでやってないしさ。
同種の一般人的な子達が相手でも、もっと気軽な感じで良いんだよ。
「すみません、いじめてる訳じゃないんでしょうけど……」
「あはは、大丈夫大丈夫。ねこちゃん、凛々しくて可愛いねー」
「……めっちゃ睨まれてる気がするんですけど大丈夫ですか?」
「……あとでおやつ上げるから許して?」
伏せたままで顔を上げたねこちゃん達が、「わたし達をこんなこわいところに送り込んで置いて……!!」みたいな顔してるよ。
いやみんな普通のねこちゃんなんだから、細かい表情は判らないんだけどさ。
どう考えてもあの視線はそういう事で間違いないよね。




