2341:偏った人だと知ろう。
「あの槍は…… まぁあれはあれで問題ありません」
「え?」
あの長さだと、どう見ても邪魔になりそうだけど。
いや、大丈夫だって言うんだから大丈夫なんだろうけどさ。
なんか槍のお姉さんが不満げな視線を送ってきてるけど、弟さんはスルーしてるし私も気にしないでおこう。
あ、余所見するなって叱られてる。
「身内の事をこう言うのは何ですが、あの人は体を動かす事に関しては天性のものを持っていますので」
「……なんだかんだで使いこなしちゃうだろうって事ですか?」
「そうですね。今日の内にはそれなりに扱えるようになると思います」
「凄い人なんですねぇ」
なんでこう、癖は有るけど一芸を持った人がその辺にゴロゴロしてるんだろうか。
特に芸の無い身としては羨ましい限りだよ。
……顔面凶器っていう武器は持ってるかもしれないけど、持ち主としてはマイナスでしかないしノーカウントで。
「まぁそのせいなのかは知りませんが、頭の方は極めてアレなんですけどね」
「ちょっとー?」
「事実でしょ」
……やれやれって顔とポーズでそんな辛辣な事を言われても、どうにも反応しづらいぞ。
そんな事はって一応言っておくべきなのかもしれないけど、当の本人がお姉さんの端的なコメントに何も言い返せてないし。
というかそれでなんで後衛の魔法使いを担当してるんだ。
いや、別にお勉強で習得する訳じゃないし問題は無いんだろうけどさ。
感覚的な分野が優秀なんだったら、魔法だって体を動かす事の延長で自由自在に使いこなしちゃうのかもしれないしね。




