2334:取り繕おうとはしよう。
まぁ見た目があてにならないのなんて今に始まった事じゃないから置いといて、あれ首締まってるんじゃないかな。
さっきまでと同じ普通の表情なままだけど、地味に槍持ってない方の手でぽふぽふとタップしてるし。
「姉さん、駄目だってば……」
あ、弟さんが追い付いてきた。
なんだかちょっと疲れてるっぽいのは、槍のお姉さんを探して走り回ってたのかな?
というかよく見るとこの二人、双子かなってくらい似てるなぁ。
いやまぁ姉さんって言ってるのが現実でもそうなら、似てて何の不思議も無いんだけどさ。
弟さんの声で落ち着いたのか、下ろしてあげてこっちを向くお姉さん。
「すみません、突然お騒がせしまして……」
「あ、いえ。色々事情も有るでしょうし」
お淑やかな笑顔と動作で謝罪されたので、いつも通り大きめのジェスチャーと一緒にお返事を。
「もう遅いと思うよ?」
「だから、誰の、せい、だとっ!」
……お淑やかな笑顔のままでボディーブローが放たれてる。
うむ、腰の入った良いパンチだ。
いやよく解ってないけど。
おふって四回言った槍のお姉さん、顔は平然としてるけど割と効いてるんだろうな。
さっきまで片手で持ってた槍を両手で握りしめてるし。




