2313:こわいひとに遭遇しよう。
それじゃ突っ立っててもしょうがないし、さっさと帰るとしよう。
まぁ私達は浮いてるから立ってはいないんだけど。
……ん?
なんだろう、なにか大き目な物を引きずる様な音が聞こえてきたんだけど。
あ、そっちの路地から人が来てるっぽいな。
離れてるから大丈夫だとは思うけど、ぶつからない様に注意だけはしておこう。
……というかあれ、【魔力感知】で見た感じだと、引きずられてるのも人じゃない?
大丈夫かな、何か悪い事やってるのに遭遇しちゃったりするのは怖いんだけど。
「あらー?」
……悪くはないけどちょっと怖い人が出てきた。
いや、まぁ後ろに居る……というか両足を縛って文字通り引きずり回されてるお兄さんにとっては極悪だろうけど。
レンジャーさん、また何か口を滑らせておしおきでもされてるんだろうか。
「あ、妖精さん。助けてくれると嬉しいんだけど」
「そんな無茶な」
「だよねぇ」
むつみさんに正面から逆らうのは中々に勇気が要る……のはともかく、なんでそんな事になってるか解らないから下手に口出しも出来ないかな。
いや、どういう理由が有ろうと流石にやめてあげた方がって言って良い状況だとは思うけど。
前の時は土の地面だったけど、ここ石畳だよ。
というかその状態でよく平然と話せるな、レンジャーさん。
引きずられ過ぎてもう慣れちゃったんだろうか。




