2282:娯楽扱いされよう。
「さて」
ぴーちゃんを頭の上に乗せたまま、静かにスッと立ち上がるアリア様。
特に固定されてる訳でもないのに、全然ズレずにぴったりくっついてるな……
「待たせてしまってすまないな」
横で見てた保護者さんと天使さんに向かって、いつもながら気軽に頭を下げてるなぁ。
そういう動きにもぴたりとついていってるぴーちゃんの方に目が行っちゃうけど。
「いえ、大丈夫ですよ」
「流される、妖精さんは、かわいいね」
……見世物じゃないんだぞって言いたいところだけど、普段から開き直ってそういう生き物をやってるんだからどう考えても無理な話だな。
あ、ぴーちゃんがようやくアリア様の頭から離れた。
なんかこっちに戻って来ずに天使さんの方に……
「いやぴーちゃん、何をやってるの」
「そうだろうそうだろうって顔してるよ」
うん、そんな事だろうとは思ったけどさ。
腕を組んで仁王立ちして頷いてるし、目隠ししてても十分過ぎるくらい伝わるだろう。
まぁ羽だからちゃんと組めてないし立ってるっていうか浮いてるけど。
「本当に、ご主人様が、大好きだねぇ」
「ぴっ!」
「無駄に力強いお返事だ…… いや無駄にって言うのも悪いけどさ」
天使さんの言葉に当然ですと元気な声を返すぴーちゃん、私の言葉に無駄じゃないですよぅと言いたげな顔でこっち見てきた。
まぁ好かれてる方が嬉しいのは事実だし、元気いっぱいなのもそれ自体は良い事だもんね。
その勢いでごしゅじんさま自慢をされるのが恥ずかしいだけで。




