2210:待たせてた事を知ろう。
うん?
家の敷地から公園へ移動して、少し外へ進んだ所でアリア様がまた足を止めて横の方を見てる。
今度はどうしたんだろう。
「うむ、待たせたな」
「いえ、問題無いって言ったのはこっちですから」
あぁ、そういえば保護者の人が座ってたんだった。
やっぱり間接的にだけど用が有って来てたんだな。
「いやアリア様、他の人も待たせてるんだったらすぐに呼んでくださいよ」
暇になったらって言葉通りに、訓練しに行ったりフミさんの所に【細工】を習いに行ってたらどうするつもりだったんだ。
「どこでも出来る事だから気にするなと言うのでな」
「そうそう。どうせ今日は一日黙々と内職の予定だったから大丈夫なんだ」
「そういう問題ですかね…… まぁ結果的にセーフだったんだから良いですけど」
場所もタイミングも関係無い作業だからって言っても、いつ来るか判らない予定を抱えたままだと気になっちゃうと思うんだけど。
いや、まぁその辺は人によるのかもしれないな。
「ところでですね」
「む?」
「可愛いので撫でても良いですか?」
「だそうだが」
「あ、はい。……良いよね? うん、良いそうです」
出発前にとりあえずみけちゃんを撫でさせろと要求してくる保護者さん。
反射的に返事しちゃってからの確認だけど、嫌じゃないって返って来たので大丈夫だな。
今の訊き方だと嫌だとは言い辛い気もするけど、まぁ多分セーフだろう。
「問題無いそうだが、頭の方だけにしてやってくれ。胴体には警戒心の強い子が一緒に居るのでな」
「あ、了解です」
うん、そこは私からも言っておくべきだったな。
あれ、この人って私の声は聞こえてたっけ?
まぁ聞こえないにしてもアリア様に伝えてくれって言わなきゃいけないところか。
体に何かくっついてるのは見れば解る事だけど、それが怖がりな子なんて事は見ただけじゃ判らない訳だしね。
まぁ隠れてるんだからその可能性は高めとはいえ、保護者さんが一緒に居る人みたいに単に寝てるから覆ってるだけかもしれないし。
いや、そっちの方がよっぽどレアケースな気はするけど。




