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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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211/3608

211:声をかけに行こう。

 モニカさんには仕事に戻ってもらい、門の上を通って家に向かう。


「ただいまー」


「おかえりー」


 おや、めーちゃんしか居ないな。

 

「シルクは家の中かな?」


「んー。エリちゃんは地下室でソニアちゃんとお話してると思うー」


「そか、ありがと」


 そっか、もう来てる…… っていうかさっき戻ってきた時点でもう居たんだよね。

 エリちゃん誘うついでに挨拶しておこう。


 ソニアちゃんも一緒に行ければ良いんだけど、無理な話だからなぁ。

 せめて何か買ってきてあげるとしようか。



「えーと…… あ、【妖精】用のドアついてるんだ」


「あら、本当ですわね」


 管理室横の階段を下りて、サフィさんに開けてもらおうかと思ってドアを見てみればその必要は無かった様だ。

 カトリーヌさんも初めて見た感じの反応だけど、さっきソニアさんが運ばれてきた時はラキ用の道具でも作ってて見てないのかな?



「あ、サフィさん」


「ん」


「この部屋ドアが二重になってるんで、入る時は二枚同時に開けない様にお願いしますね」


 多分中まで来るだろうし一応言っておく。

 ジョージさんと同じ技を使ってたとしても、気付けないだけで光は入るからね。



「ん、大丈夫。ソニアちゃん、知ってる」


「あぁそっか、役場に行ってましたしね。それじゃ…… ノックは内側で良いか」


 ドアを開けて中に入る。

 人間用の二重ドア分の奥行きがあるから、かなり細長い通路になっちゃってるな。


「あ、白雪さん。これ、通路の照明ではありませんか?」


「おー、ほんとだ」


 カトリーヌさんがドアの横に私達の部屋にあるのと同じような印を見つけて、ポンと触ると通路が明るくなった。

 魔法陣から伸びる線を見た感じ、反対側のドアの横にもスイッチの印が有るらしい。


 そういえばこのドア、ちゃんとドアノブも機能してるな。

 大工さんの中に【細工】持ちの職人が居るのか、発注したのか……

 まぁそこは別にどうでも良いか。



 ぴーちゃんが入ったらドアを閉め、奥に向かって移動する。


「ぴゃー……」


「ん? あぁ、良いの良いの。掴めないんだから仕方ないよ」


 使われる立場のはずなのにドアの開け閉めをしてもらって申し訳なさそうなぴーちゃんに、気にするなと言っておく。

 レバー型のドアノブだから操作できなくもないだろうけど、外開きだから引っ張らないといけないし。

 両方の羽で挟めばなんとかなるけど、やっぱりやりづらそうだもんね。


 こらこら、「これなら……」って感じで鉤爪(あし)をわきわきしない。

 確かにそっちなら掴めるだろうけどさ。




「ちゃんと聞こえるかな? 白雪でーす」


 素手で叩くよりも良く通る音が鳴りそうなので、【魔力武具】で固めた魔力を手に纏ってドアをコンコンと叩く。


「はーい…… 入って、いいよー」


「お邪魔しまーす」


 ソニアちゃんの許可が出たので、ドアを開けて中へ。

 カトリーヌさんが遠慮するぴーちゃんをグイグイと押して、先に通らせてる。

 あぁ、自分がドア閉めるからって事か。



「おっ、ユッキーお帰りー。ほらほら、かわいーよー」


 低めのテーブルの上に着地した私に、エリちゃんが挨拶をしながら黒猫をこちらに見せる。


「おお、おとなにゃんこ…… ソニアちゃんの召喚獣の子?」


「うん…… えると、ある……」


 あ、エリちゃんの横にもう一匹座ってた。

 エリちゃんに両脇を持ってぶら下げられてるのがえるちゃんで、横に居るのがあるちゃんね。

 つやつやの黒い毛並みが綺麗だなぁ。


 あ、あるちゃんは首元にワンポイントで白い毛が生えてる。

 これなら間違えなくて済むな。



「ぶらーんぶらーん」


 真下にだらーんと伸びたえるちゃんの下半身を、左右にゆすってぶらぶらさせるエリちゃん。

 

「こらこらエリちゃん、やめたげなよ」


「あ、別に、気にしてない、から…… 大丈夫、だよ」


「あ、そうなんだ」


 止めてみたら召喚者(かいぬし)からオッケーが出た。

 あー、確かにどうでも良さそうな表情(かお)してるな。

 別に楽しんでは無いけど、やりたいならどうぞーみたいな。



「その子は、雪さんの……?」


「あ、うん。こっちがぴーちゃんで、肩に居るのがラキ」


「ぴっ」


「よろしく、ねー……」


 指を差し出したソニアちゃんにとことこ近づいて行って、両方の羽でパサッと挟んで握手するぴーちゃん。

 あ、ラキも私から飛び降りて走って行った。



 あれれ、握手するのかと思ったらジャンプして飛び乗ってしまった。


「こらこら、勝手に人の指に乗らないの」


「いいよ、いいよ…… ラキちゃん、ちょっと、動かすよ」


 断りを入れてから、ラキを乗せた指を自分の目の高さに持っていくソニアちゃん。


「ラキちゃんも、よろしくね……?」


 爪の上で手をぶんぶん振るラキに挨拶をしてから、元の場所に下ろす。

 走って戻ってきたので、拾い上げて肩の上に乗せ直した。




「あの、ソニアさん。先ほどからある様の私を見る目が……」


 あ、ほんとだ。

 ひらひら飛んでるカトリーヌさんが気になるのかな?

 いつの間にか香箱座りの状態から、前足がまっすぐになってるし。


 あ、マズい。

 じーっと見てると思ったら、少しお尻を振り始めた。



「こ、こらっ…… その子は、おもちゃでもごはんでも、ないよ…… ダメ……」


 ご主人様に軽く叱られて、あるちゃんのしっぽがしょぼんと垂れ下がる。

 うーん、ちょっとかわいそうだけどしょんぼりした猫も可愛いなぁ。




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