表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

200/3642

200:罰を選ぼう。

「それじゃ、行ってきまーす」


「んー。頑張ってねー」


 痺れに悶えるのを面白がってツンツンするシルクからぴーちゃんを助け出し、手を振って庭から出て行く。

 平たくなってから少し経ってるし、もうカトリーヌさんは役場に着いちゃってるかな?

 少し急ぐとしよう。




 役場に着くと、入り口の横にカトリーヌさんが浮いているのが見えた。


「ごめん、待たせちゃったかな?」


「いえ、しばしシルク様のお尻の余韻に浸っておりましたので。先程着いたばかりですわ」


 うん、まぁ待たせてないなら良いけどさ。

 ただそこの兎のお姉さん、なんで凄い勢いで振り向いた。

 周りから変な物を見る目で見られてるぞ。

 あと入り口のど真ん中で立ち止まったから邪魔になってる。


 まぁ良いや。とりあえず横を通ってライサさんに挨拶しよう。



「いらっしゃいませ。今日も大変お可愛らしいですね。そちらの方は新しい召喚獣でしょうか?」


 うん、視線が通った瞬間からぴーちゃんをじっと見てたし、そうくると思ってた。

 まぁ言わなくても一応紹介はしてたと思うけど。


「そうですね。この子はぴーちゃんです。あ、『ぴーちゃん』っていう名前なのでぴーさんとかぴー様とか呼ばないであげてくださいね」


「はい。よろしくお願いします、ぴーちゃん様」


 あぁ、やっぱりそうなるのね。



「で、こっちがラキです。ほらラキちゃん、ご挨拶」


 肩に乗ったラキを摘まんで手に乗せ、ライサさんの顔の前に近づける。

 ライサさんは少しだけ目を細め、次の瞬間にパネルを開き、素早く操作して閉じた。


「これで良し。よろしくお願いします、ラキ様」


 あー、多分【視力強化】取っちゃったんだろうな……

 そんな即決で取っちゃって良いんだろうか。

 まぁ私が気にしても仕方ないんだけどさ。




「ところで白雪様、今日は新しい魔法を見せる為においでになったのでしょうか?」


「はい。早速ですが今から見てもらっても良いですか?」


 アリア様がさっき戻った時に言っておいてくれたのかな。

 話が早くて助かる。


「勿論です。済みません、少し離れますのでここをお願いします」


 近くの職員さんに頼んで席を立つライサさん。



「あ、そうだ。ジョージさん、今回の魔法は色々と危ないんで立ち会ってもらって良いですか?」


 姿は見えないけどどうせ居るんだろうと、宙に向かって呼びかける。

 あ、何も無い空間からもやっと出てきた。


「おう。まぁ一応さっきのパネルも見てっから、言われなくても見張るつもりだったけどな」


 ……あー、やっぱりさっきも居たのか。

 アリア様が居るならジョージさんもどこかに居るって思って問題無いんだろうな。




「おいキャシー、隠れても無駄だからさっさと出てこい。行くぞ」


「はいぃ……」


 ジョージさんが声をかけると、机の下からもぞもぞと職員さんが這い出てきた。

 あ、この人昨日お姉ちゃんを案内してくれた人だ。


「あれ? この人は何の為に?」


「あ? そりゃお前、効果を見なきゃ始まらんだろうが。ぎせ…… 被験者だよ」


 今本音が漏れてたよジョージさん。



「うぅ、やっぱ死にたくないですよぅ」


「それじゃ元の予定通りに、コレットの訓練に付き合うか?」


「……どうせ死ぬならこっちの方が多分マシです」


 一体この人は何をやってしまったんだ。

 というかコレットさんの訓練に付き合うと死ぬのか……

 何されるんだろう。いや、知りたくは無いけど。




 とりあえず裏庭に全員入り、ドアを閉めてからジョージさんが口を開く。


「それじゃ三択だ。目と耳と喉の機能を失うか、ドロドロに腐って土に還るか、石像になって明日の夜までホールに飾られるか。どれが良い?」


 待って待って。何その選択肢。

 っていうか最初の奴、三つ複合だし。


「ど、どれも嫌なんですけど…… うぅ、どうせ選ばないと全部順番にやられちゃうんですよね?」


「良く解ってるじゃねぇか。さっさと選べ」


「え、それ私がやるんですよね?」


「そりゃそうだろ。お前しか使えねぇんだから」


「よ、妖精様、お願いですからもっと穏便なのに変えて…… はい、黙ります……」


 言葉の途中でジョージさんにちらっと見られて折れた。

 てかこの三択を出されても「やっぱりコレットさんで」ってならないのが凄いな。



「う、うぅー…… さ、最初の奴ってもしかして……」


「あぁ、もちろんそのまま仕事してもらうぞ?」


「ひぃぃ、そんなの罰が更に上乗せになっちゃうだけじゃないですかぁ」


「他にも感覚は有るだろ。日頃からちゃんと鍛えてれば問題ねぇよ」


「普通は無理ですよぅ!」


 うん、そんな何でもない事みたいに言える人はそうそう居ないと思う。



「あー、そんじゃ他のを選びゃ良いじゃねぇかよ」


「と言われても、腐るのは論外ですし…… えっと、その最後の飾られるのですけど」


「何だ?」


「その状態で仕事しろとか言いませんよね?」


「まぁ流石にそっちは無理だろ。あー、声が出せりゃ案内板代わりには使えるな」


 鬼かこの人。今更か。



「藪蛇だったかな…… あと、勿論終わったら戻してもらえるんですよね?」


「あー、戻せるのか?」


「えっと、石化は判りませんけど弛緩する方の麻痺なら【妖精吐息】で治せました。ゆっくりですけどね」


「治せるか判らんとよ」


「そんなー!?」


 あぁ、まぁダメな方に要約するとそうなるね。



「まーそんときゃぶっ壊せば復活できるんじゃねぇの?」


「うぅ、治せる事を祈って石化するしかないかぁ……」


「あー、っていうかですね」


「ん?」


「私、明日から数日こっちに来れないんで、治療を試すのも数日後になっちゃうんですけど……」


 流石に日付が変わってからもう一日やるのは明日が辛い。

 起きてから来るってのも、十分に時間が有るかは判らないしね。



「あぁ、そうなのか? まぁ物置にでも転がしときゃいいだろ」


「えっ」


 どういう事!? って感じで俯いていた顔をガバッと上げた。

 まぁ当然だけど。


 てか扱いが雑すぎない? それも含めて罰なのかな。

 何のかは知らないけど。



「こいつ、明日からしばらく居ないってよ」


「あの、あのですね」


「あん?」


「石化してる間のお給料とかは……」


「んなもん、出る訳ねぇだろ」


「ひぃぃ…… せっかく甘い物が売り出されそうだから、少し溜めておこうと思ってたのにぃ……」


 うん、なんか可哀想だから解除した後に蜜を上げよう。

 粉も甘いけど、多分嫌がるだろうし。



「昨日の自分を恨みやがれ。で、それでも石化にするのか?」


「最終的に生き残る可能性があるのは、それだけじゃないですか……」


「まぁ感覚消してミスったら今度こそ処刑(コレット送り)だろうしな」


「それだけは御免ですからね……」


 職場の中でコレットさんは一体どう思われてるんだろう。

 大体察せるけどさ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ