表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

188/3641

188:手を洗おう。

 ラキを頭に乗せたまま、ぺこりとお辞儀をして戻っていくぴーちゃん。

 もうちょっと気にして動いてあげようよ。ちょっと落ちそうになってあわあわしてたぞ?



「やれやれ。お、エリちゃんもう立てるの?」


「なんとかねー。まー膝とかガックガクだけど」


「無理せずに座ってれば良いのに」


「ほれっ」


「おわーっ」


 あ、アヤメさんが椅子で膝カックンした。

 ちゃんと座れたから良いけど、そのまま転んだらどうするんだ。



「もー、びっくりするじゃん」


「いや、なんか綺麗に行けそうだったからさ。ごめんごめん」


「まー椅子ありがと。で、ユッキーは糸も出せる様になったんだねー。繭でも作る?」


「いや作らないし。というか作り方もよく解らないよ」


「なんか小っちゃい箱に入って作るみたいだけど、私もちゃんと見た事は無いなー」


「いや、解っても作る意味無いだろ?」


「まぁそうなんだけどね。糸が採りたければ適当な棒にでもくるくる巻いていけば良いんだし」


 誰かに棒を回してもらわないと、自分が飛び回らないといけないけどね。

 まぁその位ならシルクやぴーちゃんでも出来るだろう。

 ……横にした棒の端に回し車を付けて太郎に? いや、流石にずっと走らせるのは可哀想か。



「糸も売り物にしちゃう?」


「んー、人間が使うのに十分な量を出すのは、私一人じゃ結構厳しいんじゃないかな? 服一枚作るだけでもかなりの量が要るでしょ」


「それ、何本も同時に出せたりしないのか?」


「ん? ……うわ、出来た」


 両手を前に出して全部の指から出せないか試してみたら、結構簡単に出来てしまった。

 むぅ、でも流石に十本となると細かい調整は無理だな。

 まぁその辺は練習次第でなんとかなるかな?


 てか出した糸どうしよ。

 魔力で出来てるみたいだし吸っちゃえばいいか。

 うん、吸えば消せるな。


 でも消せちゃうのは売り物としてはどうなの?

 まぁ普通の布でも吸ったら朽ちるだろうし、そう変わらないか。



「まぁ売るにしても糸とか布を扱ってる店はもう有るから、そっちに卸す感じになるかな」


「あぁ、あの店な。試しに少し巻いてサンプルを渡してみたらどうだ?」


「そうだね。一杯欲しいって言われたら困るけど、あんまり無理は言って来ないだろうし後で作ってみようかな」


 ご飯食べた後にでも、適当な軸を買っておかなきゃだな。

 出来れば糸巻き用の奴があればいいんだけど、最悪ただの板でもいいか。



「私も手伝うよ!」


「いやいや、お姉ちゃんは今日は皆と一緒に出るんでしょうに」


「あ、そうだった。私達はそっちが本業だもんね」


「私だけで倒しきるのは時間かかるし、あんたに抜けられると割と困る」


「いざとなれば私も攻撃しますが?」


 鞄にスッと手を差し込むレティさん。

 いや、ここで武器を出されても困るんだけど。



「いや、あんたが殴ってるのって怖いから、出来ればメインにはしたくないかな」


「レティちゃん、近づかれたらにこにこ微笑んだままでぼっこぼこにするもんね……」


「そうですか……」


 残念そうに鞄に戻すレティさん。

 って何その殺意に満ち溢れた武器。

 長い棍の両端がトゲトゲのついたごっつい金具で覆われてるぞ。


 あれを笑顔で叩きつけるのか……

 何気にレティさんも結構怖いな。




「さて、それじゃスキルの確認も出来たしご飯食べに行こうか」


 あ、しまった。

 ごはんの前に大量のおやつを上げちゃったよ。

 まぁ召喚獣たちはご飯食べなくても大丈夫みたいだし、食べられなくなっても問題ないんだけどさ。


「そうだな。よし、おいでシルクちゃん」


 アヤメさん、昨日あんなことになったのに乗せてあげるんだな。

 ってそうだ、素手で食べさせてたし洗ってあげないと。



「あ、待って。シルク、ほらお水。手を洗っとこうね」


 こくりと頷いて手を洗い、懐から取り出した布を湿らせてぴーちゃんの口元を拭ってあげるシルク。

 ラキはどうするんだろ?

 あ、摘ままれて…… ってそのまま水に突っ込んだ。


 おいおい、水に浸けちゃって大丈夫なの?

 あー、大丈夫だな。楽しそうに水をバシャバシャしてシルクに叱られてるし。

 見た目はお姉さんなのに子供みたいなアラクネ(ひと)だな、本当。


 布を乗せたシルクの手の上に回収され、別の布でぽむぽむと水気を拭われてる。

 うん、大丈夫そうだな。



「それじゃ改めて」


「ではラキさんはこちらへどうぞ」


 シルクがアヤメさんの所に行く途中で、手の上のラキをレティさんの指に乗せる。

 別にシルクの上に乗ってても良かったんじゃないかな?

 まぁいいや。



「よーし、ぴーちゃんはこっちだよー」


「いやお姉ちゃん、ぴーちゃん普通に飛べるから運ばなくても大丈夫だよ?」


「あー、そうだった……」


 またしてもあぶれて、しょんぼりするお姉ちゃん。

 あ、お姉ちゃんの肩にぴーちゃんが飛んでった。



「ぴぃ」


「うわーん、ありがとー! ぴーちゃん大好きー!」


 肩に止まってお姉ちゃんの頭を羽でぽふぽふ撫でるぴーちゃん。

 気の遣える良い子だなぁ。

 しかし大丈夫かお姉ちゃん、あぶれ続けて大好きのハードル下がり過ぎてないか?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ