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173:手伝わせてあげよう。

 言葉選びを完全に間違えた感じはするけど……まぁいいか。

 言われたカトリーヌさんは、なんか嬉しそうにふるふるしてるし。


 言い方と言った状況で私が何が言いたかったを理解した上で、あえて罵倒として受け取ってる顔だな。

 多分だけど合ってると思う。カトリーヌさんって結構察し良かったりするし。


「まぁいいや。やる事は一緒だし」


「カトちゃん的には、もっと睨み付けて酷い台詞の方が嬉しかったりー?」


 何を楽しそうに言ってるんだ。

 あ、コレットさんがライカさんの角を拭き始めた。

 塗り付ける前の下準備かな? 



「いえいえ。私としては演技という混ざり物が無い、本心からにじみ出る罵倒が好ましいのですわ」


「いや、そんな人が心から『死ねばいいのに』とか思ってる様に言わないでよ……」


「それと視線は普段通りで十分ですので」


 おいこらどういう意味だ。喧嘩売ってんのか。

 あえて怒らせて、本心から死ねって言わせようとしてないか?


 いや、多分素で言ってるだけだな……

 この人の場合単純にその方が嬉しいから、眼つきの悪さを良い物だって褒めてる可能性もあるし。


 うん、まぁいいや。気にしても仕方ない。

 気にしたからって変わらないからな……

 っていうか変えた上でこの言われようだよ。




「あ、向こうの準備も終わったっぽいよ」


 エリちゃんの言葉で視線を移してみると、角を拭き終わったコレットさんがアリア様の横に戻っていってた。

 あ、頭にタオルが軽く巻いてあるな。

 髪にカトリーヌさんが垂れるのを避けるためかな?



「それじゃ…… ってシルク、どうしたの?」


 カトリーヌさんを再度促そうとしたら、シルクがふよふよとライカさんのお膝からこっちへ飛んできた。


「えーっと…… お手伝いしてあげるって?」


 こくこくと頷く。

 まぁやりたいっていうなら止めないけど……

 やりたいっていうか、屋敷の住人(カトリーヌさん)の為に奉仕するって感じだな。



「うん、それじゃお願いね。無理はしなくて良いからね?」


 首をふるふると振る。

 無理してないよって事なのか、仕事だからって事なのか。


「シルク様にお手伝い頂けるとは……」


 うーん、カトリーヌさんは凄い嬉しそうだし、まぁいいか。



「ん、何? んーと…… 紐か糸? 欲しいの?」


 シルクがこちらを見て、摘まんだ紐を左右に引っ張る様なジェスチャーをするので、何となくで聞いてみる。

 頷いたから合ってたんだろう。


 いつの間にか近くに来ていたコレットさんが、糸を乗せた手を無言でスッと差し出す。

 ……びっくりしたー。

 シルクは動じてないってのが、ちょっと悔しい。


 シルクが少し糸を引っ張って「ここ切ってー」って感じに糸をトントン叩くと、すぐにコレットさんが切断してあげてる。

 ……あれ、素手だよね。どうやってんだ…… いや、気にするだけ無駄か。

 この人たちは色々とレベルが違い過ぎるし。



 同じ長さの五本の糸を束ねて持ち、コレットさんにお辞儀するシルク。

 コレットさんは頷いて普通に歩いて戻っていった。

 来る時も普通に来てくれていいんだよ?


「で、その糸はどうするの?」


 私の質問にシルクは「大丈夫、すぐに解るから」といった顔で頷き、カトリーヌさんの腰を鷲掴みにして自分の正面に引き寄せた。

 何をするのかと思ったら、次の瞬間にはパレオがシルクの手に移っている。

 刺すのに邪魔になるのかな?



 カトリーヌさんの腿を掴んで引き下げていき、顔が自分の目の前に来るようにした。

 で…… おお、無茶するなぁ。

 カトリーヌさんが今まで腰に巻いていた布を、口をこじ開けて無理矢理ねじ込んでいく。

 おいおい、丸めても結構大きいだろうに。入りきるのか?


 あぁ、流石に全部は無理か。

 はみ出た部分を顔の下側を覆うマスクの様に巻いて、上から紐で縛りつけた。

 猿轡とそのせいで歪む顔を隠すってのをまとめてやっちゃうのね。


 でもあと四本残ってるな。

 あ。また腰を後ろから鷲掴みにして、今度は体の横にぶら下げるみたいに持った。

 どこ行くんだ?




「な、なに……?」


 ライカさんのお膝に座ったままだったソニアさんの前に行った。

 意図がよく解らなくて若干怯えてるな、ソニアさん。


「えっと、多分口開けてって言ってる」


 シルクの口の動き見てると、「あーん」って言ったっぽいし。

 しかし何する気だ。まさか丸ごと放り込みはしないだろうけど。



「わ、わかった……」


 パカッと口を開け、待機してくれるソニアさん。

 おー、ちゃんと牙が有る。


 で、開けさせてどうするんだろ。

 右手で腰を持ってぶら下げていたカトリーヌさんを、お腹が左手に乗るようにして持ち変える。

 あ、翅むしり取った。



「んむ…… 甘くて、美味しい……」


 翅は甘いのか……

 一本むしってソニアさんの舌の上に放り込み、むぐむぐと口を動かし開いたところにもう一本。

 むしる度にカトリーヌさんの手足がのけ反るように伸ばされ、ビクビクと痙攣している。


「うわー…… あれ大丈夫なの?」


「いやー、一回翅が吹っ飛んだ事あるけど、すっごい痛かったよ」


「うへー」


 何が厳しいって、そこだけ吹っ飛ばされても痛いだけで死なないってのがね。

 無いと飛び辛いから、制御を失って落下死はするかもしれないけど。

 まぁ翅を使わなくても、飛べなくはないけどね。さっきもめーちゃんの体内(なか)で飛んでたし。




 翅をむしり終わったシルクが、ソニアさんの手を指さす。


「えっと、手、出す、の……? はい……」


 今度はすぐに察せたソニアさんが右手を差し出し、シルクがその上にカトリーヌさんを乗せる。

 次は何だ?

 あ、腕と脚の付け根をきつく縛り始めた。

 あれ、止血だよなぁ…… うん、嫌な予感しかしないぞ。

 逆にカトリーヌさんの目は期待で輝いてるけどさ。


 んー……

 角に刺すときに手足が邪魔になるのかな?

 まぁ確かに血でも肉でも内臓でも、胴体だけあれば十分ではあるけど……



「また、口、かな……? んぁ」


 シルクが口を大きく開けたのを見て、ソニアさんも口を開ける。

 転がしておいたカトリーヌさんの腰を、シルクが再度掴んで飛び上がる。

 今度は前後が逆になって足が前に来てるな。


 あー、やっぱりか。

 ソニアさんの目の前まで飛んで行って、カトリーヌさんの脚を手刀でトントンと叩くジェスチャーを見せた。

 縛った所の少し先だな。



 それを見せた後、カトリーヌさんの両足を揃えてソニアさんの口の中に差し込んでいく。

 あ、途中で止まった。まとめてだと長いから、ここで一旦切れって事かな?

 うん、それっぽいな。両腿をまとめて持ってた左手を放して、ソニアさんに向けてパクッと閉じるハンドサインを送ったし。


 あ、行った。

 唇も一緒に少し閉じてるから見えはしないけど、多分膝のすぐ下あたりかな?

 ていうか腿が唇に挟まれてちょっと潰れてないかあれ。


 口の中で舌が動いたな。

 前歯で殆ど千切れた足を、舌で完全に千切りながら横に避けたのかな?

 あ、また開いた。今度はしっかり奥まで差し込んでいった。



 さっき少し潰していたのを感じていたのか、今度は慎重にカトリーヌさんの腰を唇で挟むソニアさん。

 糸の位置を探って、バツンと腿を噛み切った。


 唇を少しずらし、先端だけを咥えたけど何を……

 あ、ちょっとだけ吸った。縛られた先に残ってた血を抜いたのかな?

 最後に舌先で断面をチロリと舐め潰して終わりか。


 ……何で初めてのはずなのにちょっと手慣れてる感があるんだ。




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[良い点] え、これ、全年れ
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