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157:排除しよう。

「ふむ、随分と虫の良い事を言いますね。私は昨夜、きっちりと警告させて頂いた筈ですが?」


 犬さんの目をじっと見据えたまま詰問するモニカさん。

 うーん、モニカさんちっこいからかなり上向いてるな。

 首が疲れるだろうし、もうちょっと離れれば良いのに。



「そ、そうだけど……」


「だけど? だけど何だと言うのですか?」


「んぐっ!?」


 あー、変に言い淀んだのが言い訳って判断されて腹パンされた。

 いや、これ頭を下げさせるためのボディか。

 モニカさんの顔の高さまで降りて来た頭を鷲掴みにして、一気に押し下げる。



「まぁその図々しさに免じて、今日は一撃で決めて差し上げましょう」


 あぁ、今のボディはノーカウントなんだな。

 押し下げた頭を両腿で挟み込み、犬さんの背中に覆いかぶさってお腹に手を回し、両腕ごとガッチリ抱え込む。

 お、挟んだ脚を緩めて一気に振り上げた。

 そのまま叩きつけるのかな? ……いや、右肩に仰向けで担いだぞ。


 昨日はアルゼンチンバックブリーカーで、今日はカナディアンバックブリーカーか?

 いや、これじゃそう簡単に終わらないな。こっちは自重で折っていくタイプだし。


 ん、周囲を見渡して…… あ、止まった。見てるのは犬さんのパーティーメンバーかな?

 どうするつもりだろう。



「白雪さん、放っておいて良いんですの?」


 カトリーヌさんが心配そうに聞いてくる。


「いやー、あの人昨日も同じ事やって殺されかけてたからねぇ。流石に擁護のしようが無いかな?」


「懲りない奴だねぇ」


「不法侵入は……駄目、だよ……? 仕方ない、ね……」


 うん、助けろって意見も無いしこのままで良いか。




 お、動くか?

 犬さんをホールドしている状態から左手を放し、ビッとメンバーの方を指差してそちらへ体ごと向き直る。

 あっ、パーティーの人達ビクッてした。


 左手を元の位置に戻し、犬さんを担いだまま重心を前にずらす。

 お、大股で走り出した。なんか向こうから「ひぃぃっ!?」とか聞こえて来てるけど大丈夫か?

 あー、まぁ一緒にまとめてやられそうで怖いわな。

 流石にそれはやらないだろうけど。



 おー。ホップ、ステップ、ジャーンプ……からの熊人の全力を込めたパワーボムかぁ。

 しかも両手も一緒に抱えてるから、受け身も一切取れずに後頭部から地面に叩きつけられた。

 うわっ、ちょっ、威力が有り過ぎて首から上の中身がグチャグチャになって、皮の破れた天辺や顔の穴から地面に……

 うえぇ、これはグロいぞ…… 



 しかしなんだっけ、あの走ってから叩きつける技。

 あんな長距離動いたり大ジャンプはしなかったと思うけどさ。


「おぉー、ランニングスリー」


 あ、それだ! ありがとうエリちゃん。別に教えてくれた訳じゃないけどありがとう。

 まぁ歩いたの三歩どころじゃないけど。



「白雪さん、今度私にもアレをやって頂いても」


「よろしくないよ? 私あんなにパワー無いし。……いや、有ってもやらないけどさ」


 食い気味に拒否しておく。

 そんなにやって欲しければシルクにお願いしなさい。



「お届け物です」


 叩きつけた姿勢から顔だけ上げて犬さんの仲間の方を見て静かに言うモニカさん。

 いや、何言ってんだ。「ちゃんと面倒見ておかないと次はお前等もこうなるぞ」っていう事か?




「お待たせ致しました。それでは参りましょう」


 手をパンパン叩きながら戻って来て、門を閉めるモニカさん。

 ちょっと……いや、かなり引いてる皆に手を振って、皆で並んで奥へ行く。


「それじゃエリちゃん、頑張ってねー」


「おーう、みーちゃんも達者でなぁー」


「いや、別にそういう別れでも無いだろこれ」


「まぁ会おうと思えばすぐ会えるしな」


 パーティーから抜けるエリちゃんに向けてエールを送るみーちゃん(確定)と、ツッコむ兎さんとおじさん。

 うん、一緒に外で戦わないってだけで普通にメッセージ送ったりできるからね。



「いやー、しかしパワフルだねー」


「私、これでも日々白雪様の為に鍛えておりますので」


 いや、会ったの数日前だよね。

 そんな効果が出る程鍛えようが無いでしょ。


「私ももっとがんばろー。あ、でも美味しくなるには魔力を濃くした方が良いのかなぁ」


 いや、知らないけど……

 まぁ確かに魔法は魔力一杯込めた方が美味しかったけどさ。



「あ、でもデスペナで弱ってたら味が落ちるって事は活きが良ければそれで良いのかな。ユッキーはどう思う?」


「解んないけど、とりあえず楽しめそうな物鍛えればそれで良いんじゃない?」


「んー、まぁ確かにやってて楽しい方が良いもんね」


「そうそう。あ、お姉ちゃんとレティさんだ」


「何やらアヤメさんの悲鳴も聞こえますね」


 うん、なんか「あー痛たたた、ちょっ、それ以上は無理ぃー!」とか聞こえてくる。

 なにやってんだ。っていうかずっとそんな仕打ち受けてるのか。



「おーい、どんな感じー?」


「しーっ、雪ちゃん静かに。こそこそしてるんだから」


「こらーっ! お前らさっきからバレてんだよー! 出てきて助けろーっ!」


「はっはっは、そう嫌がるな。コレットのマッサージを受ける機会などそうそう無いぞ?」


「痛いんです、よ! もうちょっ、と、加減してぁーっ!」


「申し訳ありませんが、こういう物ですので……」


 あー、全身固定されて足の裏思いっきり指圧されてる。

 あれって本当にちゃんと効果あるのかな。

 まぁ偉い人のメイドさんがやってるくらいだし、少なくともここでは効果はあるんだろう。



「しかしずっとアレだと声も持たなそうだなぁ」


「その辺は上手く緩急付けてやってるみたいだよ。痛気持ち良いのと普通に気持ち良いのを三対七くらいで」


「でもきっちり痛いのは混ぜてくるんだね」


「見てる分には面白いですよ」


「薄情者ぉー!! んぁーっ!?」


 頑張れアヤメさん、終わったら凄いスッキリしてると思うから。多分。




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