1527:粛清しよう。
「一体何事なのでしょうか」
「なんだろう……?」
とりあえず石が消えたのとは関係が有るんだろうけど、何なんだろう?
「いや、ってかボーっとしてて大丈夫なの? ヤバくない?」
「いやー、この街の警備してる人達をちょっと知ってるんで……」
「そうですわね。あの方々の護りを抜けてくる様な相手が現れたのだとすれば、それはもう慌てるだけ無駄な事かと」
うん、そうなんだよね。
どっちかというと、やったのがその方々の可能性の方が高い気がするし。
とはいえ、あっけに取られてる人達が我に返ってパニックでも起こしたら大変だし、何か対応するべきなんだろうか。
「はぁーい皆さーん、落ち着いてぇー、くださいねぇー?」
あ、その必要は無さそうだな。
なんか妙に間延びした喋りの隠密さんが、パンパンと手を叩きながら現れたし。
……なんかすっごい尻尾がもっふもふな狐さんだな。
手入れに凄く気を遣ってそう。
「あー、誰だか知らんが、何が起きたのか説明してくれるのか?」
とりあえず敵じゃないらしいと判断したお兄さんが、隠密さんに尋ねてくれた。
私も一応、それくらいは知っておきたいな。
「うーん、そうですねぇー。一言で言うとー、処刑? 粛清? ですかねぇ」
……また不穏な単語だなぁ。
「あいつ、何かやらかしてたのか?」
「さっき白雪様へと放っていた石ですがー、あれ魔法じゃなくてただの石を飛ばしてたんですよねぇー」
「あー…… そりゃいかんわな」
……マジかー。
お姉さんが守ってくれなかったら即死してたって事だなぁ。
こっちは普通に止められると思ってるから、特に何も対応せずに顔で受けてただろうし。
「しっかし、なんでそんな事を……」
「さぁー? 下等な虫けら程度の知性も持たないゴミ屑の思考はぁ、私共には理解しかねますのでぇー」
「おぅ……」
……【妖精】に変な事を仕掛けたせいか、あの人の隠密さんからの好感度が限界まで下がってるな。
質問したお兄さんもちょっと引いてるじゃないか。
いや、もしかしたらこの人は元々こういう事を言う人って可能性もちょっとだけ残ってはいるけど。
それはそれでどうなんだって話だし。
「まぁせいぜいがー、自分が凄いって見せかけようとした程度のぉー、事なんじゃないですかぁー?」
「あー、俺の魔法は【妖精】にも通用したぜーって事か……?」
あー、なるほど。
「私がなんか気に入らない」とか以外の理由だと、その辺が有り得るのかな?
まぁもし普通に食らって死んでたとしても、流石に有り得ないって調べられてボコボコにされる未来しか見えないけど。
っていうかさ。
隠密さんだけじゃなくて参加者の人達も、【妖精】に攻撃する奴は即座に処刑されて当然みたいな認識なのは何なんだ。
こっちだってただの一般プレイヤーだぞ。
まぁそれで「おかしいだろ」とか怒られても困るから、話が早くて助かりはするんだけどさ。
いや、まぁうん、全員で抗議したとしても力づくで黙らされそうではあるけど。
「あともう一つ良いか?」
「はぁい。何でしょうかぁ?」
「これ、何をどうやったらこんな事になるんだ……?」
うん、それも気になる所ではあるよね。
何かの魔法なんだろうけど、あまりにも強力過ぎるし。
「うーん、私にはちょっと解んないんでぇー」
おや、隠密さんでも解らないのか。
……んん?
って事はこれは何なんだ?
「レティ様ぁー、お願いできますかぁー?」
「はい。少々お待ちください」
……あー。
なるほど、ベルさん案件ね。
「そちらを実行した方が言うには、空間系統の魔法によるものだそうです」
「詳しくは聞けないのか?」
「どうでしょう……はい……はい」
あ、教えてくれるんだ。
まぁ知ってもどうせプレイヤーに出来る事じゃないんだろうけど。
「そちらの方が居られた空間を五ミリ間隔で細かく分断して賽の目切りにした後に、それぞれの配置をランダムにシャッフルして、円柱状の範囲の重力を操作して圧し潰したとのことです」
「やり過ぎだろ……」
……ベルさん、過激過ぎない?
最初のやつ以外要らないというか、最初のやつでさえそこまでしなくてもって感じなんだけど。




