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VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


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146:離脱しよう。

「えーっと…… すみません、誰か溶かされても良いって人は居ないか? だそうです」


「はっ?」


「なんだか人を溶かして習得できる魔法があるらしくて、カトリーヌさんに覚えさせてあげたいと」


「あぁ、別の理由が有ったんだな。てっきり腹が減ったから生贄を寄越せって言ってるのかと思ったぜ」


 どんなイメージだ。いや聞くまでも無いか。



「しかし流石にペナ貰うのは、なぁ?」


 魔人さんが振り向いて周囲に振ると、殆どの人が「ちょっとなぁ……」という雰囲気の顔になる。

 あ、スモモさんもなってる。当然だけどちょっと残念。


 しまった、また目が合った。

 あ、視線を逸らされた…… まぁうん、仕方ないわな。

 大丈夫、襲わないよー。そんな警戒しなくていいよー。



「よーし、誰も居ないねー? はいはーい、それじゃ私の出番だよー」


 わざわざ候補者が居ないのを確認して、熊さんが進み出て来る。

 別に確認する必要ないと思うんだけど……


「そりゃ居ないだろ。お前が変なんだよ」


 おぉ、魔人さんがツッコんだ。

 ……熊さんの仲間にも魔人さんが居るから紛らわしいな。



「えー? あれすっごい気持ち良いのに」


「いやそう言う事じゃなく、ペナルティで経験値を失いたくないんだよ」


 まぁステータス減少はこれからログアウトするから関係無いしね。

 アイテム落とすのもこの状況なら拾っておいてもらえばいいだけだし。


「あとあんな気持ち悪い状態になりたくは無いだろ、普通」


 うん、グニャグニャのドロッドロになりたいって人はそう居ないわな。

 なった自分からは見えないみたいだけど、周りの人にそんな自分を見られる訳だし。



「そんなの些細な事でしょー」


「いやいや待て些細じゃねーよ。お前今日だけで何回死んで…… いや確かにもう誤差みたいなもんか……」


 兎さんが出てきてツッコミを入れるも、途中で悟ってしまった。

 もっと頑張っていいんだよ。



「でしょー? ほら、多分もう減らせる分は全部減りきってるって」


「いや開き直ってんなよお前…… いい加減にしないとパーティー組んでるのも難しくなるぞ」


 まぁ一人だけ全然レベル上がらないのはなぁ……

 やるのを止める権利は無いって言ってたけど、流石に離れすぎると一緒に行動するのは厳しくなってくるだろうし。


「私かみーちゃんが離脱すんのなんていつもの事じゃーん?」


「いやまぁそうだけどさ……」


 いつもの事なんだ……

 みーちゃんってのは魔人さんの事かな。まぁまさかおじさんでは無いだろう。

 本当兎さん苦労してるなぁ…… っていうかよくそんな四人で組んでるな。



「それにしても今回は早すぎないか?」


「ほら、早い方が穴埋めるのも楽じゃん?」


「いやそりゃそうだけど」


「やりたい事見つけるのが早かったってだけさー」


「ったく……」


「どうせ言っても聞きやしねぇだろ。捨てとけ捨てとけ」


 おじさんが薄情だ。いや、もう慣れっこなんだろうな。


「どうせ引き止めてもまた出先で食われに行くんだ。危なっかしくて組んでられるかよ」


 まぁ戦闘中にいきなり離脱されるのはなぁ……

 しかし一回目であれだけ泣いておいて、よくやろうと思うよ。



「いや、なんか本当に申し訳ない……」


「あー、気にしないで。こいつも今言ってたけど、うちのバカ二人って大抵どっちかが面白そうな事見つけて抜けるから。今回はたまたま妖精さんだっただけだよ」


「原因が言うのもなんですけど、よくそんな面子で遊びますね……」


「まぁ付き合い長いから慣れっこだしね。それに片方が抜けたらもう片方は自重するから」


 いや、片方抜けるってだけでも割と……

 まぁ組んでる人が良いって言ってるんだからいいか。


 あー、そういえばなんか今日は魔人さんが大人しいと思ったらそういう事ね。

 今も立候補してないし。



「という訳で遠慮なくやっちゃっていいよ」


「うんうん。さぁさぁ、どばーっと流し込んでくれていいんだよー」


「いや、どばーっと流したら弾け飛んじゃうんですけどね」


「あぁ、あれね……」


 流す方も一緒に死ぬし、近くに居る人も怪我するから危ないよ。



「ん?」


「いや、一気に流し込んだら破裂するって話をな」


「そうなんだ。あー、そう言えば言ってたね。それも気持ち良いんでしょ? ちょっとやってみたいなぁ」


「あんまりやりたくは無いかな……」


「妖精さんも巻き込まれて一緒に死ぬし、周りに被害も出るからやめとけ」


「ぶーぶー。まぁ妖精さんも危ないんじゃ仕方ないかー」


 うん、諦めてくれると助かるかな……



「あっ、そうだ」


 おもむろにパネルを取り出し、何やら操作を始める熊さん。


「よーし、これで私も妖精さんと普通にお話できるぞー」


 あぁ、【聴覚強化】を取得したのか。

 まぁパーティーから抜けるなら、ポイントも好きに使えるもんね。



「えーと、聞こえますかー?」


「おー、聞こえる聞こえるー。わーい」


「そんじゃまぁ、俺はあっちに戻ってるから」


 そう言っておじさんと一緒に他の人達の方に戻っていく兎さん。

 っていうかこれ、全員で見届ける必要はあるんだろうか。



「そういや、さっき襲われるとか言ってたけど何の事だ?」


 唐突にアヤメさんが聞いてくる。

 そういえば居たのはお姉ちゃんだけだから、二人は知らないか。


「あー、昼にカトリーヌさんがリセットする前に溶かしたんだけど」


「ドロドロのまま動いて、こっちに襲い掛かって来たんだ…… うー、怖かったよう……」


「何それ怖っ」


「あんな状態でも動けるのですか……」


 うん、普通は無理だと思うよねぇ……



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