表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOで妖精さん  作者: しぇる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/3630

144:一緒に撃たれよう。

「シルクー、よく解ったみたいだからそろそろやめとこうね」


 流石にこんな所でへたり込まれても困るので、シルクを止めておく。

 むぅ、アヤメさんがこんなになるとは…… シルクのなでなで、恐るべし。


「ふぅ、助かった…… ったく、やられてるのが自分じゃないからって楽しそうにしやがって」


「あぁっ、やめてやめて、くすぐったいよぅ」


 恨みがましげに文句を言いつつ、お姉ちゃんの耳の付け根を指でわしゃわしゃかき回すアヤメさん。

 うん、まぁ自業自得かな。




 訓練場に入ると既に結構な人数が集まっていた。

 あー、これ遅刻かな。

 魔人のお兄さんが手を振りながら歩いてくる。


「お、来た来た。遅かったじゃないか」


「ごめんなさい、お腹が膨れておねむの時間だったみたいで」


 おいお姉ちゃん、人を赤ちゃんみたいに言うんじゃない。

 寝てたのは事実だから、あんまり文句言えないんだけどさ。


「まぁこんだけ集まってりゃ色々話もあるし、時間はいくらでも潰せるけどな」


 情報交換とかかな。

 とりあえず「私の」じゃない事を祈っておこう。



「そういや新しく【妖精】が増えたんだってな」


「そうですね。この子です」


「カトリーヌですわ。どうぞお見知りおきを」


 カトリーヌさんが進み出てお辞儀する。


「うげぇっ、変態じゃねぇか…… 」


 いや、うげぇって。まぁ気持ちは解るけどさ。



「まぁこいつになら何の遠慮なく叩き込めるか……」


「えぇ、バンバンお願いいたしますわ」


 答えずに一旦集団の方に戻っていく魔人さん。

 まぁ聞こえてないから当然だけど。


「それじゃ張り切って的になるとしようか」


「痛みはあまり期待出来ないとは言え、楽しみですわ」



「魔法使いとしては、痛いと思わせたい所だけどねぇ」


「まぁ種族特性みたいなものだから仕方ないよね。あ、お姉ちゃんはカトリーヌさんに撃ってあげて」


「え? 別にいいけど、何で?」


「いや、カトリーヌさんイチゴ好きみたいだからさ」


「あんまり説明になってない気がするけど、それは多分私の魔力がイチゴ味だって事で良いんだよね?」


「そうそう」


「あら、それは嬉しいですわね」


 他に何か好きな味はあるか聞こうと思ったけど、よく考えたら誰が何味かなんて殆ど覚えてなかった。

 魔人さんと熊さんの二人は覚えてるけどさ。

 


「あっと、一応脱いでおかなきゃ。シルク、お願い」


 大丈夫だとは思うけど、一応ね。


「あ、上の服だけね。あとカトリーヌさんはそれしか着てないんだから、服に手をかけないで」


 こんな所で裸になる気か。

 シルクに脱がせてもらい、そのまま終わるまで持っててと頼んでおく。

 おい、何故懐にしまう。その下素肌だろ。……まぁいいか。




 カトリーヌさんと二人で開けた場所に行き、お互いに少し離れて皆の方に向き直る。


「さて、準備オッケー。取りあえず体で受け止めて、その後吸って食べちゃえばいいから」


「解りましたわ。他に何か注意すべき事は?」


「あ、魔法で出た岩は簡単に受け止められるけど、吸って魔力が抜けたら普通に重くなるから潰されないように気を付けてね」


「潰されてはいけませんか?」


「今は困るかな…… 噴水広場遠いし」


「確かにお待たせすることになってしまいますわね。判りました、自重致しますわ」


「あと、一通り撃ち終わった人には【妖精吐息】を吹いて労ってあげてね」


「お礼という事ですわね」


「そ。さて…… おーいお姉ちゃーん、もういいよー!」


 手を振って準備が出来た合図をする。



「はーい。それじゃ適当に二列に分かれて順番に行きましょう」


「はいよ。……おい、お前らもっと変態の方に行ってやれよ」


 七対三くらいの割合でこっちに多く並んでるし。

 別に撃つ相手なんてどっちでもいいだろうに。


「愛されていますわねぇ」


「いや、魔法を叩き込みたいっていうのは愛されてるって言っていいのかな……? あ、動いた」


 後ろの方にいた人がカトリーヌさんの列に移ったな。




 バンバン撃ってもらい、片っ端から受け止めてちゅーちゅー吸いこむ。

 撃ち終わったらお疲れ様ーっと顔に息を吹きかけ、次の人へ。

 うん、やっぱり魔法は別腹だな。美味しい。


 あ、呪術のお姉さんだ。

 むぅ、頑張ってるけどやっぱり地味だな。

 お? ちょっと左手がちくちくする。抵抗に失敗したのかな?


「やっぱり【細胞崩壊(ネクローシス)】は通らないなぁ……」


 いやいやちょっと待って。なんか今すっごい不穏な名前が聞こえた。

 何でそんな怖いのを選ぶんだよ。

 この刺激、体が壊されそうになったのかよぅ。

 ……ていうかちくちくするって事はちょっとだけ壊されたのかな。

 まぁもう痛みは引いたし、問題なさそうだから良いか。


 ……それよりもその魔法、こんな早くに使えるようになって良い魔法なんですかね。

 まぁ多分、成功率が悲惨なくらい低いんだろうな。



「これはなかなか、楽しいものです」


「迫力あるよねー」


 同じタイミングで終ったので軽く会話する。

 うむ、楽しんでる様で何よりだ。


「美味しいしお腹も膨れるし、良い事尽くめですわねぇ」


 いや、メインは【MND強化】の経験値稼ぎだけどね。



「誰か美味しい人は居た?」


 自分で言っておいてなんだけど、何だこの質問。


「そうですわね…… あちらの方とあの方、それと今の方などはとても美味でした」


「ほほー。あ、あの人昨日は居なかったなぁ。何味だった?」


「近い物を上げるならスモモでしょうか。少し違いは有りましたが、中々の物でしたよ」


 おー、良いなぁ。ちょっと食べちゃ駄目かな……

 って駄目に決まってるだろ。何考えてんだ私は。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ