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139:代わりに頼もう。

 ん、メッセージ? あぁ、カトリーヌさんか。

 わざわざお礼とは律儀だなぁ。

 それとめーちゃんの名前? あぁ、なんか直接言いたい事があるのかな。

 文字の方が確実だしこっちもメッセージで返信しておこう。



 カトリーヌさんを配置し終えたシルクが戻ってきた。

 ん、これ包んでた布? 返すって?

 うわぁ、じっとり湿ってる……

 血はついてないけど、なんかやだぞこれ。


「モニカさん、これ上げるー」


 うん、喜びそうな人に押し付けてしまおう。

 手を出してもらって、畳んだ布を上に置く。


「ありがとうございます!」


 ……受け取ると素早く開いて、顔に当てて深呼吸。

 今更だけど、この人も大概だよなぁ……

 なんでこうも個性的な人ばっかり集まるのか。

 ……うん、全然他人の事言えないわ。類は友を呼ぶって奴か。


 

「わー、すごい事になってるねー。カトリーヌさん、大丈夫ー?」


 ん、足の下も見えるのか。

 そういえば【錬金術】で水分を抜いてたのも見てたっけか。

 っていうかそれじゃ踏み潰す映像をリアルタイムで見ちゃう羽目になるんじゃ……?

 大丈夫なのかな。


「生きてはいるけど喋れないみたいだよ。ところでめーちゃん、目を瞑ったりは出来るの?」


「んー? あー、潰す時の心配してくれてるのー? んー、目を瞑るって言っていいのか判らないけどー、見えなくは出来るかなー」


 出来るんだ。それなら大丈夫か。



「んー? あー、うん、わかったー。皆、カトリーヌさんが『噴水広場で合流しましょう』だってさー」


「まぁ私らも見たい訳じゃないしな。モニカさん、ここの片付け頼めるかい?」


「えぇ、もちろんお任せください。カトリーヌ様の最後もしっかりと見届けさせて頂きます」


 最後って言ってもどうせ何事も無かったかの様に普通に帰って来るけどね。


「いえ、それは止めておいた方がよろしいのでは……」


「あぁ。レティみたいに人前でおえーって吐く羽目になっても知らないぞ」


 吐いたのか。

 あぁ、そういえばなんか一人離れて植え込みで埋めてたな。

 しかし何でそんな初日の事を唐突に蒸し返すんだよ。



「……ふへへ」


「おいコラ、忘れろって言っただろ」


 いや、先にイジりに行ったのアヤメさんだろうに。

 

「…………うん、やめよう。不毛だし」


「そうですね」


 少しだけ睨み合った後、あっさり和解した。

 睨み合うって言ってもレティさんは笑顔のままだったけど。

 うん、仲良くするのが一番だよね。



「っていうか何でめーちゃん経由で伝えてきたの?」


「んー、私への注文のついでに書いたっぽいよー。一気に潰さずに、少しづつじわじわと圧縮して欲しいんだってー」


「あぁ、時間かかるからって事かな? いや、すぐ終わるとしてもあっちで合流した方が無駄が無いか」


「だな。よし、ほらシルクちゃん、ここ空いてるぞー」


 こちらに背を向けてしゃがんで、両耳の付け根をポンポン叩くアヤメさん。

 お姉ちゃんはまたしても「しまった!」って顔してるな。

 もう諦めた方がいいんじゃなかろうか。


 そうだ、もう一枠空いてるし太郎を呼ぼう。

 皆が居る時なら運んでもらえるし。



「お姉ちゃん、じっとしててねー」


「えっ、何? わっ、頭に何かが!?」


 お姉ちゃんに近寄って、頭の上に太郎を召喚する。

 別に乗せる意味は無いんだけどね。一旦机の上に出せば良いんだし。


「こんばんは、太郎さん」


「えっ、これたろちゃん? うー、落としちゃいそうで怖いんだけど」


「そうですか。それではこちらへどうぞ」


「あーっ! うぅ、またぼっちだよう」


 レティさんに乗り物の座を素早く奪われるお姉ちゃん。

 今のは私のせいでもあるな。……まぁいいか。




「それじゃ行ってきまーす」


 めーちゃんとモニカさんに手を振って出発する。

 あ、そうだ。


「あー、ついでにめーちゃんのスキル申請お願いしてくるよー」


「んー、【樹人】のー?」


「うん。通るかは判らないけど一応お願いしてみるよ。育てれば何か良い事あるかもしれないし」


「わーい。それじゃお願いするよー」


「まぁ今は攻撃しか出来ないみたいだから、許可してもらえないかも知れないけど」


「んー。ダメ元って奴だねー」


「そゆこと。まぁ来なかったらダメだったって事で」


「んー。それじゃーいってらっしゃーい」




「さて、それじゃ私はちょっとお願いしてくるから、皆は先に合流してて」


「はーい」


 お姉ちゃん達と別れて一人で役場へ向かう。

 あ、そういえば今日はまともに草むしりしてないな。

 まぁ急ぐ必要もないし、結晶(お弁当)の在庫はあるし別にいいか。



 いつものカウンターでライサさんに声をかける。


「すいません、ちょっとお願いがあるんですけど」


「承りました」


 いや、まだ何も言ってないぞ。

 無茶苦茶な事言われたらどうする気だ。



「せめて聞いて下さいよ。で、家に居る【樹人】の子のスキル申請をお願いしたいんですよ。本人が来られないんで、行ってあげてもらえませんか?」


「何のスキルかお聞かせ願えますか? ご存じでしたら用途もお願いします」


 あぁ、行ってから聞いて無駄足になるのは避けたいよね。

 承るとか言ったけど何も考えずにやっていい事じゃないだろうし。


「えっと、固有スキルの【樹人】ですね。用途は……スキルを鍛えたいけど移動できないから仕方なく、ですかね」


 用途とは言わない気がするけど、事実だし仕方ないよね。



「【樹人】ですか。それでしたら問題は有りませんね」


 あれ、良いんだ。


「【樹人】には有用な技能が多数御座いますので。但し他人に向けて使用せぬよう……っと、これは白雪様に申し上げても仕方ありませんね」


 あぁ、【妖精魔法】と違って情報は有るんだな。

 レベル上がると何か良い事あるのか。

 注意点はまぁ本人に言ってあげてください。



「それでは早速行って参ります。少し出て来るから、戻るまでここをお願いね」


 立ち上がって後ろで作業をしていた職員さんに声をかけるライサさん。

 あ、昼にお姉ちゃんを案内してた人だ。

 いや、だからなんだって話だけど。


「あ、場所は判りますか?」


「えぇ。白雪様のお宅でしたら存じております。えぇ、それはもうしっかりと」


 え、ライサさん来た事無いよね?

 まぁ公園が出来たのは当然知ってるだろうし知ってても不思議では無いか。




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