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黒き拳帝と剣帝と剣精  作者: 金時
第2章 王都ウトガルド編
9/32

第9話 村2

読んでくださりありがとうございます。


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です。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








チュンチュン、チュンチュン。


「・・・あさか・・・」


窓の外には高い位置まで昇っている太陽が忌々しく輝いている。朝までフェルミと抱き合い、中に沢山注ぎこんだ為、精魂つきた状態だ。昨夜は激しかった為、フェルミは隣で穏やかに眠っている。どうやら悪夢を見る事は無かった様だ。


今の時刻は朝の九時くらいだろうか?未だ身体が重いが今日は村を出てフェルミが住んでいる国へ向けて出発する予定だ。なるべく早く準備を済ませて出発した方がいいだろう。野盗に襲われた後で、ろくな食料が無いだろうから。


そう今日の予定をたてていると、隣でフェルミがモゾモゾと動き寝返りをうつ。


「うう~。・・・キャ⁉///」


どうやら起きた様だ。フェルミは起きて早々、自分が裸なことと、隣にトールがいることに驚いて自分の身体を隠す。そして、次第に昨夜の事を思い出して身体全体が赤くなる。身体全体から湯気が出そうなほどだ。


その初々しい反応がとても可愛い。


「おはよう、フェルミ」


栗色の肩まであるショートヘアを指で梳かしながら朝の挨拶をする。フェルミは美人というより可愛い系で少女から大人になりつつある体つきをしている。将来間違いなく美人になるだろう。


「お、おはようございます、トール///」


二人が朝の挨拶を終えたところで、隣の部屋のドアが勢いよく開けられる音が聞こえた。その部屋から出てきた人は乱暴な足音のままトール達の部屋の前で立ち止まった。フェルミは不思議そうな顔でドアを見ている。すると突然。


バタンッ‼


「トール‼」


「キャ⁉」


トールが予想した通りにドアから乱暴に入ってきたのはマリィだった。トールに静かにする様にと言われていた事を忘れているのだろう。勢い任せで部屋に入って来た。


外からの突然な侵入者に短い悲鳴をあげながら必死に身体を隠すフェルミ。入って来たのがマリィと分かって安堵の息をついていた。


「どうしたマリィ?朝から騒がしいぞ」


トールに窘められるが今のマリィには全く聞こえていない様だ。


「どうした、じゃないよ‼トールはまた女の子と一緒にいたんだよね⁉ずるいよ!」


感情的に話し続けるマリィに目を白黒させるフェルミ。今まで一緒にいた時にこんなに勢いよく話す彼女を見た事が無かった為意表をつかれたのだろう。マリィはなおも元気よく話し続ける。


「トールはマリィと一緒に寝てくれないのに、他の女の子とばっかり寝るんだから!今日と言う今日は」


「マリィ。」


「・・・何?」


「今夜から一緒に寝ようか」


「はい‼‼」


ズコッと誰かが転んだ様な気がしたのは気のせいだろうか。あれだけ元気よく話し続けていたマリィがトールの一緒に寝ようか発言で一気に機嫌が回復して今は満面の笑みを浮かべている。


ピョンピョンと元気よく跳ねながら寝ているトールの横に飛び乗り抱き付くマリィ。そのまま顔をスリスリとトールに擦り付ける。ご機嫌な猫の様だ。


「え、え~と?」


今まで呆気に取られて眺めていたがマリィの機嫌と、態度の急激な変化についていけなかった様だ。頭の上にはてなマークが飛び交っている。


「そうだな、改めて紹介するよ。俺の大切な相棒のマリィだ。ちなみに今のマリィが普段の状態だ」


「マリィだよ!よろしくねフェルミ‼」


「・・・は、はい。こちらこそよろしくお願いします。・・・な、なんだか昨日と全然態度が違いますね。」


あまりの態度の違いに思わずと言った感じで口にするフェルミ。


「ああ、俺がマリィに静かにする様にと言っていたんだ。」


「理由を御聞きしても?」


トールがそういうふうにたのむということは何か大きな理由があるはずだ。大切な情報かもしれないと真剣に聞く。


「うるさいからだ」


「・・・へ?」


「違うよね⁉マリィはうるさくないよ!」


「冗談だ。本当はしっかりとしたした理由がある。」


「もう!酷いよトール‼」


「あ、あの、その理由を御聞きしても?」


「・・・秘密だ。だが、近いうちに教えるさ」


「わかりました。楽しみにしておきますね」


秘密と言われても何の不満も無く逆に笑って受け入れてくれる。


「ああ、それで今日の予定なんだが、フェルミの住んでいる国へ向けて出発する予定だ。」


「えっ⁉今日ですか?確かにそんなに離れた距離ではありませんが、急ですね。」


トールの言葉に驚きを露わにするフェルミ。距離がそんなに離れていないとはいえ、準備に一日かけてもいいくらいなのだ。


「この村は野盗に襲われた後で食糧も、金もろくにないからな。このまま長居してもしょうがない。・・・それに、もっと切実な理由もある。」


「切実な理由?」


「金を全く持っていない事だ」


トールの言葉に再び驚きを露わにするフェルミ。


「⁉全く?銅貨一枚も?」


「ああ、銅貨一枚も持っていない」


「ねぇトール!銅貨ってなぁに?」


マリィが元気よく質問してくるが聞かれても困る。なにせ


「俺も知らん」


トールも知らないのだから。その二人の言葉に今日一番の驚きの事実を知るフェルミ。何せ旅人が通貨を知らないなんてとても信じられない事だから。足し算を知らない大人くらい信じられない。


「⁉えっ⁇う、嘘ですよね⁇通貨を知らないなんて」


「知らん!見た事も聴いた事も無い」


その言葉に目眩を覚える。通貨を知らないで旅をしているなんて、何て世間知らず。いや、世間知らずを通り越してバカっていいたくなります!命の恩人で私の大切な人だからそんな事を口にはだしませんが。


「わかりました。私が住んでいる国へは今日出発しましょう。旅の途中に通貨の説明をします。それでいいですね?」


「通貨の説明だけで無く、一般常識から全て頼む」


「・・・ま、まさか。一般常識も知らないんですか?」


「ああ、何も知らん!」


またもや目眩が。


「ねぇートール!一般常識って何?」


「大人が身につけていないと恥ずかしい事だな。それを知らないマリィは恥ずかしい人間だ。」


「ち、違うよ⁉こ、言葉が難しかっただけだよ⁉」


「・・・一般常識を知らないトールも恥ずかしい大人って事ですよ。」


「・・・。さぁ、行こうか。」


いつも通り落ち着いた表情をしているが、よく見れば顔が少し赤くなっている。やはり恥ずかしかった様だ。そんなトールの姿を見て嬉しくなるフェルミ。トールもやっぱり私達と同じ人間なのだと。


「ふふふ、話題を反らしましたね。分かりました。私が知っている事全てお教えします。しっかりと覚えてもらいますからね。」


「マリィはちゃんと知ってたんだからね⁉」


三人は出発の準備をする為に宿の外に出て準備を開始する。トールと、マリィはお金が無い為、何も準備する事が無い。フェルミも、とくに無いそうだが、パーティーを組んでいたチームメンバーの遺品を取りに行くそうだ。国へ戻って学園に遺品として渡して親の元に届けてあげたいのだろう。


ほどなくして戻って来たフェルミを含めた三人は村から馬を貰い、出発することになった。


野党達を国かギルドへ引き渡しお金と交換する予定だったが、この村の今の現状ではとても望めそうもない。国からの報奨金がでるかどうかも分からない為、嫌がるマリィの為にも無理に連れて行かずに、トール達が国に着いた時に騎士団に来てもらおうということで決定した。


トール達三人は村の人達からの感謝の言葉を背中に受けながらこの村を出発した。


目的地は王都ウトガルド。










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