第1話 プロローグ
久しぶりの小説投稿です。
一気に複数話投稿して読者様の反応を確認したいと思います
3話までは主人公がダークです。
気に入らない方はとばして下さい。
そうですね~。一気に5話まで投稿します。
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「初めましてじゃな、小さき愚かな者よ」
何もない暗い空間に突然女性の声が響いてきた。どこを見渡そうが一面暗い闇が覆っており、何処にいるのか、何者なのかその一切が不明だった。そして普通の神経の持ち主なら間違いなく恐怖し、叫びだし精神の安定をはかろうとする闇の中にありながら一人の男は全く怯え、恐怖し、動揺することなくただ静かに声の気配を探っていた。この落ち着いた雰囲気だけで彼が普通の一般人とは違うとの証明になっていた。
「あぁ?ここはどこだ?」
しかし、彼から発せられた声は落ち着いた雰囲気からは想像出来ない乱暴で狂気に満ちた低い声をしていた。声だけを聞いた者なら間違いなく荒くれ者で巨体で、顔に傷がある様なそんな幻想をいだかせただろう。
「ここはお前の魂の力を借りて私が創った深層空間じゃ。この空間は現世から完全に切り離されておる。それ故にもう、元の身体、元の世界には戻れない」
男が見ていた先の何もなかった空間に白い小さな蛍火の様な微かな、それでいて柔かく暖かい光が少しづつ集まり、彼と同程度の大きさに成ったところで光の集中が止んだ。そこには白いシルエットが浮かび上がってきた。
何もかもが白く人型のシルエットをしているが本当に人間なのかもわからない。
対する男は謎の白く発光する光のおかげでようやくその姿が明らかになった。少し長めの黒髪を後ろで縛り肩のあたりでユラユラと揺れている。線の細い顔に綺麗に整えられた眉。相手を射殺してしまいそうな鋭い眼光。それだけならただの鋭い眼光の男なのだが、男には一つだけ他者と違うところがあった。それが血の様でいて異様な光を放つ緋眼。
その男は突然目の前に現れた謎の白いシルエットに興味深く観察しながら油断の無い鋭い眼光で観察を続ける。まるで、少しでも此方に敵意を向ければ手に持っている刀で斬りつける、そんな態度だった。
白いシルエットはやれやれと嘆息をしながら続きの話をする。
「お前はこのままでいいのか?このままこれからもずっと自身を欺き、裏切った者達を追い殺し続ける。そんな生活で満足しておるのか?」
「あぁ、中々充実した毎日を過ごしてるぜ。あの頃からしたら、今の生活の方が生きてるって実感できるぜ」
彼は思うあんな惨めな生活は二度としたくないと。あんな生活に戻るくらいなら他者を蹴り落とし自らの幸福を得ると。
「お前は既に殺しをどうとも思っておらぬようじゃな?」
「当たり前だ、そんなことはとうの昔に置いてきた。今まで殺した奴らは全て俺の糧になってもらってるぜ」
そう言いながらニヤリと笑う。
彼の言っていることは比喩や、例えではなく実際に彼の力の一部になっているのだ。これは明らかにこの世界の理から外れている。だが、彼は全く意に返さない。利用出来るものは全て利用する、彼はそんな性格をしていた。
「そうか、お前は既に自身が持つ能力に気がついていたか。そうであるのならば話しは早い。お前には異世界に行ってもらう」
「なんだと?」
白いシルエットの言葉に彼は眉を顰め、元から鋭かった眼光が更に恐ろしい事になっていた。だが、謎の白いシルエットは全く意に返した様子は無い。
「本来ならお前が行くべきだった世界だ。そこなら今まで以上にお前の能力を存分に活かせるはずじゃし、ここより自由に生きる事が出来るぞ」
「ほんとうか!?」
彼は存分、自由と言う言葉にかなり興味を惹かれた。彼は窮屈だったのだ。何をしてもし絡みばかり。法律の縛りばかり。彼は自由に生きたかった。その願いが叶うかもしれない。
「お前が行くべきだった世界は剣と魔法の世界じゃ。しかし、お前は魔力を持っていなければ魔力を使えない。その世界は魔力を持っていなければ疎まれ蔑まれるのじゃ。お前が異世界に行くにあたり一つだけ能力を与えてやろう。何が良い?」
「・・・魔眼が欲しい」
数秒の間をおいて彼が欲しい物を答えた。
「魔眼?魔力はいらんのか?」
「そうだ、解析が出来る魔眼が欲しい。魔力がなくとも生活には困らないだろうからな。それに疎まれ、蔑まれるのには慣れてるからな」
「わかった、その願いを叶えよう。それと、
向こうの世界に行ったら言葉がわからないだろうからな、特別に向こうの生活に慣れるように言霊の力をあげよう。」
「それと、俺が持ってる家宝の聖刀天地開闢を強化して壊れないようにできないか?」
「そのくらいだったらいいだろう、ついでにお前の身体強化しておいてやる感謝しろ。魔法が使えない生身の身体では直ぐに死んでしまうからな」
そう白いシルエットが口にすると手の部分を持ち上げ彼に向ける
その手からはこの暗い空間を明るく照らす暖かい光が零れていた
彼はその光からけっして目を離さず見つめている
「気をつけて行ってくるのじゃぞ」
彼はその言葉を最後に意識を失った
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