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赤い爪  作者: 西乃 詠
1/4

プロローグ

初投稿なんで、多分レベル低いですよー…

目に大怪我を負ったとしても全然大丈夫ですって方のみお読みください(⊃∀`




悲しい。



悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて。


悲しすぎて、涙が止まらなかった。



いや、実際には涙など一滴も流れていなかったが、それでも精神を司る脳の一部のイメージとしては、


─心は─


確かに泣いていた。



『私が何をしたのよ!?何もしてないじゃない!!それなのにどうして!?何がダメなのよ!?どこがいけないの!?答えて!!はやく答えてよ!!』


頭の中で自分の思考回路がヒステリーな声を巡らせる。


『悲しい。悲しいの。そうよ私はカナシイの!!それなのに、私を悲しませているあいつらは今もぬけぬけと笑ってるわ。許せない。絶対に許せない。あいつらに笑う権利はないわ!!あいつらは裁かれるべきよ。私を悲しませた罪を償うべきよ!!誰もあいつらに思いしらせてやれないなら、私が制裁を下すまでよね!!殺す?アッハハ!それが良いわ!!殺さないと!!あんなゴミクズはこの世から綺麗に廃除しないとダメね!!私が!!私が掃除してあげる!!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!楽しみだわ。本当に楽しみ!!』


ただのヒステリーはそのうち狂喜に変わっていった。それを遠いところから眺めていた私は、そっと口をひらいた。


「そんなの、ただのゴミ処理にしては、リスクが高すぎるよ。」



それからふっと作り笑いを浮かべる。

きっとその笑顔は、死ぬ程重苦しいモノだろうけれど、仕方がない。

今は、それしかできない。


失われてしまった。


その時私には、自分の中にあったはずのモノが、音さえたてずに崩れていくのがわかった。


不意にため息がでた。

それが、自分の中のモノが崩れる最後に残した唯一の音声であり、慰めでもあった。



何故こんなにも悲しいのに、目からは涙が一滴も流れていないのか、自分でも不思議だった。


─いっそ泣けたらもっと楽かもしれないのに


私は気づいていた。

自分は泣かないのではなく、泣けないのだと。

その事実は私をさらに悲しみのどん底へと突き落とした。


――いや、まだ、


まだどん底ではない。

本当のどん底は、自分がどん底にいるということさえ認知できない状態をさすからだ。


その方が、気づいてしまうことの残酷さを考慮すれば、状況的にはいくらかましなのだろうか。

それとも、気づけないことこそが残酷なのだろうか。私には図り知れない話だった。

なにせ私は、ここにきても尚、悲劇のヒロインになれる程の“オハナシ”を持ち合わせていなかったのだから。



静かに、空を見上げた。


悲しくて仕方がないときに、そうする事で気が大分まぎれることを知っていたからだ。

日頃からボーっと眺めている空と何ら変わりないはずなのに、その日の空はどこか儚げに見えた。

赤い絵の具を水で薄くのばしたような、淡い夕日が美しく光っていた。

そんな夕日が何故かとても愛しかった。


きつく目を閉じた。まるで、何も見たくないかのように。

どれくらいたっただろう。私はふと、泣いていないはずの自分の瞼の下に、水滴が滴っていることに気がついた。



――?



思わず目をあけ、空を見つめると、赤く光っていたはずの夕空は、今や暗雲の溜め込める灰色の空に染まっていた。

突如目の前にひろがったのは、笑えるくらいに真っ暗な世界だった。

そんな世界を眺め、私は静かに満たされていく想いでいっぱいだった。

涙を流せない自分のかわりに、空が涙を流してくれているような気がしたからだ。

馬鹿らしい考えだと思いつつ、私にとってそれは確かに感極まるに値する光景であった。


様々な思いが、考えが、脳裏をかすめていった。


「…もう、いいよ。」


何も知りたくなかった。

何も。

一人ぼっちでいい。

むしろたった一人でいたい。

この大きすぎる世界とは、そろそろ別れたかった。


耳を塞いで、瞼をとじて、ただただしゃがみ込んでいたい。


「…ずっと……。」


だってきっとそうだから。


あぁ。


そうに決まってる。


そうしているうちに、消えていくだろう。


だから、完全に無くなるまで。


―忘れるまで。



孤独が、孤独を。

お疲れさまでした(`∀´

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