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聖女を泣かせたと婚約破棄されましたが、精霊様が『※注釈』で嘘を暴いてますよ? ~元校閲ガールの公爵令嬢は、不実な二人の頭上に【真実】を強制表示させる~  作者: ちいもふ
第4章:【四校】偽りの聖域と、壊れた心の「再校」。――書き損じだらけの愛を、真実の筆跡で書き換えます。
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※校閲:『全自動洗濯機』という名の、全自動詐欺について

 王宮での「大掃除」を終えた私は、久しぶりの休日をカイル様と共に城下町で過ごしていた。カイル様は今日も今日とて、私と腕を組める幸せを全身から黄金の文字で放射している。


【※本音:リリアーヌの服が薄手になった気がする。……日差しよ、私に代わって彼女を温めようなどという不敬は許さない。その役目は私(夫候補)のものだ】


(……太陽相手に嫉妬しっとつづるのはおやめくださいな。目が疲れますわ)


 そんな私たちが足を止めたのは、広場に人だかりを作っていた「魔法道具商」の前だった。


「さあさあ、奥様方! これぞ最新魔法技術の結晶、『全自動・汚れ落としのつぼ』だ! これに服を入れれば、あら不思議。どんな汚れも真っ白に。家事から解放される、まさに夢の道具です!」


 商人が掲げたのは、一見ただの古ぼけた壺。しかし、私の瞳には、その「商品説明文」に潜む醜悪しゅうあくな誤字が見えていた。



【※注釈:商品説明(表向き)】


 全自動で汚れを落とす、家事の救世主。


【※校閲結果:事実誤認(捏造ねつぞう)】


 内側に『透明化の魔法』が塗布されているだけです。服は綺麗になるのではなく、『汚れもろとも透明になり、持ち主には見えなくなっている』だけ。三日後に魔法が切れた頃、商人は隣町に逃げている計算です。



「……あら。あまりに古典的ベタな誤植ですわね」


 私は、カイル様が止める間もなく一歩前に出た。商人が「さあ、この婦人もお買い上げだ!」と、下品なニヤけ顔をさらす。


「奥様、お目が高い! この壺であなたのドレスを洗えば、あまりの輝きに誰もが目を奪われるでしょう!」


「ええ、文字通り『見えなくなる』のでしょう? 着ているものが消えてしまえば、確かに周りは目をくことになりますわね。……露出狂として、憲兵けんぺいに捕まるついでに」


 広場が凍りついた。商人は顔を引きつらせ、「な、何をデタラメを!」とわめき散らす。


「証拠はあるのか!? この『全自動・汚れ落としの壺』は、我が商会の最高傑作……!」


「あら、商品名から『不備』だらけですわよ。……赤ペン(添削)を入れさせていただきますわ」


 私は指先で黄金の万年筆をもてあそび、空中に浮かぶ壺の「設定」を軽やかになぞった。



【※構成変更リライト


 商品名を『全自動・自白の壺』に書き換え。 透明化の効果を対象(衣類)から、使用者(商人)の『本音』に置換します。



「な、なんだ、急に壺が光りだして――」


 商人が驚いた瞬間、彼の頭上に、壺の中から噴き出したような巨大な文字が表示された。


【※本音:本当はただの粗大ゴミだ! みんなが裸同然になっても知ったことか! この金で酒と女におぼれたい! ヒャッハー!】


 ……しん、と広場が静まり返る。商人は自分の頭上の文字を読めないので、「え? みんな、どうしたんだ?」と首を傾げている。


「カイル様。……こちらの方の回収、お願いできますかしら?」


「ああ。リリアーヌの休日を汚した罪、万死に値するな」


 カイル様が指を鳴らすと、待機していた護衛たちが一瞬で商人を組み伏せた。広場には、だまされそうになった主婦たちの拍手が湧き起こる。


「……ふう。契約書だけでなく、商品名までうそだらけ。今の世の中、校閲すべきものが多すぎて困りますわ」


 私が溜息をつくと、カイル様が背後からそっと肩を抱き寄せた。


【※本音:リリアーヌ。君が正義のペンを振るう姿は女神のように美しい。……だが、君に見惚みとれている周囲の男どもの視線だけは、今すぐ私が一括削除デリートして回りたい】


「……カイル様。独占欲の校閲だけは、さすがの私にも手に負えませんわ」


 私は苦笑しながら、彼に引かれるままティーサロンへと向かった。平和な街角にも、まだまだ「悪文」の種は尽きそうにない。

 第4章スタートです!


 王宮の大事件の後ですが、リリアーヌ様は今日も元気に「ペンは剣より強し」を地で行っています。詐欺師の自白という、校閲ガールならではの「ざまぁ」をお楽しみいただけたでしょうか。


 カイル様の愛は、リリアーヌ様のペンでも修正不可能な「バグ」として定着しつつありますね。次回は、カイル様たっての希望(という名の暴走)によるデート回をお届けします!

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― 新着の感想 ―
ペンが冴えわたってます(笑)今回は小悪党の成敗でした。こうして歩き回っているおかげで、民が騙されることなく暮らせるのですね♪ 透明化の魔法……壺で無く、別の道具に付与してオンオフ出来れば国に売り込め…
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