表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女を泣かせたと婚約破棄されましたが、精霊様が『※注釈』で嘘を暴いてますよ? ~元校閲ガールの公爵令嬢は、不実な二人の頭上に【真実】を強制表示させる~  作者: ちいもふ
第1章:【初稿】不備だらけの婚約破棄。――ゴミ案件は廃棄して、重すぎる愛に溺れさせていただきます。
1/7

※注釈:王太子殿下は、彼女にとってただの『歩くATM』です

「――リリアーヌ・ヴァン・アストレイド! 貴様との婚約を今この瞬間、破棄する!」


 きらびやかな卒業パーティーの夜。シャンデリアの光が大ホールの中心を照らす中、私の婚約者であるアルフレッド王太子が叫んだ。その隣には、か弱い花のように彼に寄り添う男爵令嬢、ミレーヌがいる。


 私は手に持っていた扇子をパチンと閉じる。


(……よし、予定通り。校閲開始だ)


 前世、私はネットニュースの校閲ガールだった。事実誤認や嘘を訂正するのが仕事だ。この世界が乙女ゲームだと気づいた時から、「契約の精霊」と仲良くなり、ある準備を進めていた。


「破棄の理由は、私がミレーヌ様をいじめたから……でよろしいか?」


「そうだ! 彼女のドレスを切り裂き、階段から突き落とした! この心の清らかな聖女を傷つけた罪は万死に値する!」


 その瞬間。ミレーヌの頭上に、ボワッ……と不気味な光の板が浮かび上がった。


「な、なんだこれは!? ミレーヌ、君の頭の上に何か出ているぞ!」


 会場がざわつく。ミレーヌ本人が驚いて上を向く中、その板には黄金の文字でこう刻まれていた。


【※注釈:ドレスを切り裂いたのはミレーヌ本人です。新しい衣装をアルフレッド殿下に貢がせるための自作自演であり、階段の件は寝ぼけて足を踏み外しただけです】


「……なっ!?」


 ミレーヌの顔が引きつる。アルフレッドは呆然とそれを見つめている。


「アルフレッド殿下。精霊様は嘘がお嫌いです。我がアストレイド公爵家と王家に結ばれた『古代精霊の誓約』では、不実な者の頭上には【真実】が強制表示されることを、お忘れでしたか?」


「そ、そんな馬鹿な! ミレーヌが嘘をつくはずがない! 彼女は私を心から愛していると言ってくれたんだ!」


 アルフレッドが叫ぶと同時に、ミレーヌの頭上の文字が、さらに猛烈な勢いで更新される。


【※補足:ミレーヌの脳内履歴 王太子 =『歩くATM(※注:金だけ出す便利な道具)』 第二王子 =『キープ(本命)』 近衛騎士 =『遊び相手』 現在の愛の数値は0.02%です】


「ひっ……!」


 ミレーヌが悲鳴を上げて後ずさる。会場からは「ATM? 道具扱いか!」「愛がないことだけは確かね」との失笑が漏れ始めた。


「だ、黙れ! 私は彼女を信じる! 彼女こそが国の光となる聖女なんだ!」


 再び、ミレーヌの頭上に文字が躍る。


【※訂正:彼女の聖女パワーは、リリアーヌ公爵令嬢から密かに盗んでいた魔力によるものです。現在、契約違反により魔力は全回収され、彼女はただの『性格の悪い一般人』に格下げされました】


 文字が表示された瞬間、ミレーヌの周りのキラキラしたオーラは霧散し、化粧の崩れた、少し意地の悪そうな少女がそこに残された。


「さて、アルフレッド殿下。婚約破棄は受理する」


 私は優雅に一礼する。


「ですが、誓約書に基づき、一方的な不当破棄による賠償金を請求する。領地の三割の割譲、および本日までの教育費、贈答品費の全額返還。……あ、今お召しのその宝飾品も、私の実家からの贈り物ですよね? いますぐ返してもらおうか」


「ぐっ……、うわああああ!」


 アルフレッドが発狂したように暴れるが、彼の頭上には特大の赤文字が浮かんでいた。


【※結論:この男は、王の器ではない。本日をもって王位継承権は自動消滅した。お疲れ様だ】


 その直後、王太子の首にあった「王家の紋章」が砂のように崩れ落ちた。


「お見事だったな、リリアーヌ嬢」


 人混みを割って現れたのは、第二王子のカイルだ。彼は私の手を取り、ひざまずく。


「……私の頭上には、どんな注釈が出ているのでしょうか?」


 彼の頭上には、他の誰よりも眩い黄金の光を放つ、たった一言。


【※本心:十年前からあなただけを愛している。今すぐ結婚したい】


 顔が熱くなるのを感じながら、扇子で口元を隠した。


「……誤字も脱字もない、完璧なプロポーズだ」

 ご一読いただき、本当にありがとうございます!


 元校閲ガールのリリアーヌが、精霊様の力を借りて世の中の「嘘」をバッサバッサと校閲していく物語です。


 カイル様のあまりに重すぎる「※本心」や、リリアーヌの容赦ない校閲など、続きが気になる! と思っていただけましたら、ブックマークや広告下の【☆☆☆☆☆】評価、いいね等で応援いただけると、執筆のとても大きな励みになります!


 本日この後、07:20に第2話、07:30に第3話を続けて公開いたします。ぜひ、リリアーヌとカイル様の物語を末永く見守っていただければ幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ