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料理嫌いの嫁を家で待ちながら、無職夫は今日も夕食を作る~幸せ手抜き料理  作者: だい


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6/9

第5話:冬の匂いと手抜きスープカレー

今日は、病院に行く日で久しぶりの外出だ。


街に出て、息を吸い空気を味わう。


周りはすっかり冬の匂いになっていて、間もなく、雪が降る季節なんだということを、私たちに教えてくれる。


この「冬の匂い」は、雪が少ない内地(本州)から来た人にとって、最初は理解できないという。

しかし、何年か住むと「言っていた冬の匂い、分かりましたよ」という人が多い。


冬の、凛とした空気の中にストーブなのか、エアコンとは違う匂いが混ざり、道産子にはおなじみの冬独特の空気になるのだ。


冬を教えてくれる、この空気自体は嫌いではない。

しかし、これから雪が降り積もるのかと思うと憂鬱なのだ。


私は半身麻痺なので、歩行には杖か車いすを使う。

しかし、冬はどちらも使い辛く、外出を減らさざるを得ない。


 冬の匂いは、子供の頃からの思い出を運んでくれるとともに、私にとっては、外出を阻む檻を運んでくるサインでもある。


そんな、冬が近づいてきた寒い日は、温まる物が食べたくなる。


鍋や豚汁(北海道ではブタ汁、トン汁ではない!)でもいいのだが、ここは汁物の温かさだけではなく、プラス辛味の熱くなる感じをダブルで味わいたい。


ここはカレーだ。

只のカレーではない、北海道と言えば「スープカレー」だ。


まず、粗挽きのひき肉を、テフロンのフライパンで、油入れずにじっくり炒める。

そこに水をいれ、煮立ったらカレールウを二かけ、いや三かけ。


煮立ったら、鶏がらスープの素を入れて味を見る。

この時点では、「カレー風味スープ」だ。


ここで「業務スーパー」の出番だ。

ハチのカレー粉、ガラムマサラをいれる。

さらにニンニク、ショウガ、コショウに乾燥バジルを振る。


こう書くと、手順多くて大変そうだがフライパンでひき肉炒めたら、あとは調味料入れていくだけ。


ココナツミルクや、豆乳をちょっと入れたらエスニックッぽいw

カレーペーストあればもっと本格的だが、今日はないのだ。

ちなみにタイの即席めんについてくるオイル入れたら美味い。


具は、冷蔵庫に入ってる野菜をオリーブオイルで焼いていく。

今日は、レンコン、ピーマン、カボチャ、舞茸、人参、ゴボウ、キャベツ、ジャガイモがある。大漁だ。


人参やジャガイモは、レンジでチンしていく。

見栄え良く切りたいところだが、片手しか使えないのでハサミで何とか切っていく。


よく、嫁や他の人からも、ハサミだと大変だねと言われるが、実はこの時間は好きだったりする。

ハサミで狙い通りにまっすぐ切れると嬉しいのだ。


切った野菜を、オリーブオイル振って焼いていく。

焼いている間に、蒸焼きにして冷凍していた鳥腿肉を解凍。 

私は何故か、スープカレーには鶏かラムを入れたい派なのだ。


今日のご飯には、もち麦を混ぜた。

人によって好みはあるだろうが、私はあのプチッとした感じとスープカレーを合わせるのが好きなのだ。


そうそう、付け合わせの用意もしなくては。

まずは「大根の酢漬け」だ。


左手で、あらかじめ半分に割っておいて貰った大根を持ち、スライサーを右手を重石にしながら動かして薄くスライスする。

スライスした大根をジップロックに入れて、「かんたん酢」と「柚子胡椒」入れて冷蔵庫においておけば出来上がりだ。

柚子胡椒以外でも唐辛子やショウガも美味しい。


胡瓜は叩いて塩とニンニクと唐辛子とオリーブオイルで和える。

かんたんで最近お気に入りの付け合わせだ。


今日のサラダは、貰い物のポテトサラダにたっぷりとリンゴを混ぜたものと、カット野菜の手抜き。

カレーに野菜多いから勘弁してもらおう。


そういえば、内地の人がポテサラにリンゴにびっくりしてた。

昔はミカンも入ってた家もあるって言ったら驚くのだろうか。


などと、とりとめない事を考えていると、玄関で鍵の音がした。

私はすべての料理を温めていく。


「ただいまー! ああ、今日もいい匂い!ねえ、今日はカレー?カレーでしょ?」


玄関から聞こえる妻の声。

いつも聞こえるこの言葉、これはスープカレーなんかよりも私をポカポカと温めてくれるのだ。


「お帰り。そうだよ、今日はスープカレーだから早くおいで。」


台所でカレーを温める私は、寂しげな冬の匂いは忘れて、妻と食べる幸せなカレーの匂いに包まれたのだった。






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