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料理嫌いの嫁を家で待ちながら、無職夫は今日も夕食を作る~幸せ手抜き料理  作者: だい


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第2話: ジャガイモでオヤツのつもりが満腹!(休日の午後)

妻がパート休みの日の朝は、いつもよりずっと静かで穏やかだ。平日は私の方が早く起きて準備をするが、休日は二度寝を許されているような気がして、体も心も緩む。


この日も私はリビングでコーヒーを飲みながら、読書を楽しんでいた。妻はまだ寝室でゴロゴロしているらしく、時折、スマホを操作する小さな音が聞こえてくるだけだ。そんな妻に、いつもと違う特別な「おやつ」を用意して、午後のひと時を喜ばせたいと考えた。


今日の主役はじゃがいもだ。ホクホクとした食感は休日のゆったりした気分にぴったりだ。午後のまったりタイムに二人でつまむなら、ちょっとジャンキーなものが気分を上げるだろう。


そこで決めたのは、昔懐かしいじゃがいも尽くしの三種盛りだ。揚げイモ、モチモチ食感のイモ餅、そしてじゃがいもの王道、塩ゆでにバターと塩辛を添える贅沢な一皿。これならビールにも合うし、昼食と夕食の間のつなぎにぴったりだ。……そのつもりだった。


【休日の軽食の準備】


まずはイモを茹でるため、寝室の妻に声をかけた。


「ねー、イモ剥いてー!」


バタバタと妻が走ってくる。


「なになにー? 肉じゃが? カレー?」

「内緒だよ。イモ剥いたら、部屋でゲームの続きしてなよ」

「えー、気になるけど……」

「まあまあ」と笑ってごまかす。


妻がイモを剥いている間に、揚げイモとイモ餅の準備に取り掛かる。揚げイモの衣はホットケーキミックスでOKだ。イモ餅用には片栗粉と塩コショウ、そして具材としてチーズとあんこと牛そぼろ。中の具は、すべて「業〇スーパー」で調達したものを常備している。


妻が剥き終わったイモをレンジで加熱する。揚げイモ用には小ぶりなものを選び、イモ餅用はマッシュするので形は適当で構わない。レンジで加熱し、竹串がスッと通るようになったら下ごしらえは終わりだ。


小ぶりなものをハサミで半分にして、竹串に三個ずつ刺す。揚げイモは二人に二本ずつ、合計四本作る。


残りのイモはマッシュし、片栗粉と塩コショウを加えて捏ねる。粉っぽいときは、牛乳で調整するのが私のやり方だ。固まってきたら棒状に整形して切っていく。一センチ程度に切ったものと、五ミリ程度に切ったものを作り、五ミリのものには綿棒で伸ばしてから、チーズや餡子などの具を挟んでいく。この具入りが中々美味しく、妻の好物なのだ。何も挟まないものは、最後に焼いて砂糖たっぷりの麺つゆでみたらし風にする。


【IHでの同時調理】


さて、IHコンロにフライパンを置き、バターを入れて温めていく。具入りのイモ餅から焼き始め、その間に揚げイモとじゃがバターの準備を同時進行で進める。


串ごと入れられる大きなフライパンに、一センチ程度のサラダ油を入れて温めていく。たっぷり衣を付けた串を揚げ焼きしていく。揚げるうちにイモ餅も出来上がり、じゃがバター用のイモもレンジでの加熱が終わった。


テーブルに出来上がったおやつを並べていく。じゃがバターには塩、コショウ、マヨネーズに塩辛を添える。


最近はテレビでも紹介されているが、これは味噌バターコーンラーメンと違って、本当に道民はじゃがバターに塩辛を食べている。

よく勘違いされているが、味噌バターコーンラーメンや毛ガニラーメンを好んで食べる道民は少数派なのだ。ちなみに、キツネにも「ルールールー」なんて言わない。


おっと、横道にそれてしまった。今日は塩辛も特別なものを用意した。それは「ウニイカ塩辛」だ。知人が作ったものをいただき、あまりの美味しさに、次に作るときは是非うちの分もとお願いしていたもの。今日は届いたばかりのこれを、じゃがバターにのせて食べる。


【宴の始まり】


「おやつできたよー!」


走ってきた妻は、とても嬉しそうだ。この顔を見ると、こっちまで嬉しく、幸せな気持ちになる。


「え、え、これ食べていいの?! ビール飲んでいい?」

「食べなさい、飲みなさい。嫁子のために作ったんだから」


まず妻が手にしたのは揚げイモだ。味はケチャップとグラニュー糖のふた味。


「やっぱり揚げイモ好きー!」


妻が笑顔で食べていると、こっちも笑顔になる。


「揚げ物、大変だったでしょ?」

「実は、正確には『揚げ焼き』してるから大丈夫だよ」


料理に興味のない妻は、いまいち揚げ物と揚げ焼きの違いがわかっていないようだが、「美味しいから良い」らしい。


グラニュー糖をまぶした揚げイモを食べて、「中がイモだと単に微妙なドーナツだね。次はいらないかも!」と正直な感想が返ってきた。どうやら失敗だったようだ。


イモ餅は妻絶賛だった。いつものみたらしバージョンはもちろん、具入りも好評で、特に餡子入りは気に入ったらしい。

チーズ入りももちろん美味しいと喜んでいた。私は意外とそぼろが好きで、つまみならこれが一番良いかもしれない。


そして私が楽しみにしてたじゃがバターだ。

やっぱり塩辛じゃがバターは美味い。これが、バターを入れず塩辛だけだと、何故かイマイチなんだ。熱々の塩辛じゃがバターとビール。最高だ!


しかし、今日はこれを超えるものを用意している。


「嫁子、これ乗せてじゃがバター食べてみようよ」

「それなーに?」

「これはね、新鮮なバフンウニを塩漬けにして、そこにイカのゴロ(内臓)を混ぜて塩辛にした『ウニイカ塩辛』だ!」

「!! 絶対美味いに決まってるのに、じゃがバターに?贅沢じゃない?」


「前に食べた時から、ウニイカ塩辛でじゃがバターが食べたかったんだよ。だから、前から頼んでたのよ。さあ食べてみよう!」

……とんでもなく美味かった。


ウニのコクとイカゴロがマッチして、これだけでご飯も酒も進む。特に、イカの身をじゃがバターにのせて食べた時は感動した。


うーん、こりゃビールではなく日本酒、いや、焼酎だな。妻と目配せして納戸にある五日前割の黒霧島を出してきた。高い酒ではないが、前割で驚くほど旨くなるので愛飲している。


じゃがバター、焼酎。イモ餅、焼酎。揚げイモ、ビール。


いつの間にか「おやつ」と言いながら、妻と二人きりの宴になっていた。


「嫁子は満腹で満足だよう……」

「おやつだったのにね」

「晩御飯食べれないかも」

「じゃあ、晩御飯は無しにしようか」

「……やっぱり夜食にうどんくらいは食べたい」


相変わらずの食いしん坊な妻を見て、幸せな私なのだった

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