第28話:鶏モミジの煮込みと天津飯
連日寒く、雪がうっすら積もって凍る。
こう足元が悪いと、私は家に籠り、嫁子としか話さなくなる。
たまには他人と話したいなあと思っていた。
そんな中、今日、後輩が急に来た。
良い奴なんだが、昔からふらふらと職を変わっている。
今は知り合いの社長の所で、色々と仕事貰っているらしい。
何やら、お土産があると笑いながら、大きなレジ袋にパンパンの謎の物体を持ってきた。
開けてみると、なんと「鶏のモミジ」だ。
今は出荷するニワトリを捕まえる仕事をしているとか。
そんな仕事あるんだねぇ…
出荷だけではなく、精肉工場も併設で従業員は買えるそうだ。
だから鶏の足を大量に買ってきたと。
昨日から下処理して配って歩いてるらしい。
皮も爪も処理して、一度お酒入れて下茹でも終わってる。
後は、煮るなり炒めるなりで食べられるそうだ。
コイツは休みを何に使ってるんだか…
この間は「あんこ」を一日かけて手作りして持ってきてたな。
他にもレゴの大作を部屋いっぱいに作ったり、ジオラマ作ったり自由に生きてるなあ。
それからしばらく、アニメや車の話で盛り上がり、昼に、二人でインスタントラーメン食べ、バカ話ばかりして楽しかった。
きっと、冬に家から出れない俺に気を使ってるんだろう。
口にはしないが、ありがたいと思う。
後輩が帰った後に、モミジを煮ていく。
モミジは見たところ、かなり綺麗にされているな。
一応もう一度下茹でする。
豚足と同じ感じで煮て行けば良いかな?
それから醤油、ザラメ、砂糖に酒、スライスした生姜やニンニクで煮込んでいく。
八角や唐辛子は嫁子が得意じゃないので入れない。
煮汁が少なくなったら、水を足しながら一時間は煮る。
触ってプルプルになってきたら、照りが出るまで煮詰めていく。
一度、粗熱を取って冷まし、味が染みたら完成。
初めての食材だし、味見してみる。
ああー、美味しいけど、きっと人選ぶなあ。
嫁子はどうかな?
確か、豚足は苦手だったような気がするからダメかなあ。
もしダメだった時にどうしようかな。
モミジも美味しくとも、あんまりオカズって感じじゃないし。
もう一品なにか作ろうか。
いや、もう一品というか、ご飯を何かにしようかな。
鶏モミジと合わせるなら、中華かなあ。
そうだ、卵とネギはあるし、確かカニ缶あったはず。
こりゃ天津飯だな。
カニ缶探すと、期限近いのが3缶も出てきた。
カニ玉に使うには多すぎるなあ。
そうだ、カニを炒めてご飯に混ぜ込んで「カニご飯」にしよう。
嫁子は中がチャーハンの天津飯好きだし、喜ぶかな?
米を用意し、カニ缶の汁を入れて水を調整し、鶏ガラスープの素、生姜を入れて炊く。
カニの身は、カニ玉用以外はごま油と塩コショウにオイスターソースで炒める。
炊きあがったご飯に混ぜたら「中華風カニ混ぜご飯」の完成。
うん、良い味だ。
カニ玉のせて餡もかかるから、これでちょうど良いと思う。
さて、あとは夕方に嫁子帰ってきたらカニ玉作ってお終い。
きっとこの天津飯美味しいから、早く帰ってこないかな?
そして夕方
ガチャガチャ、バタン。
「ただいまー、今日もおなか減りました!」
思春期の男の子のようなセリフで、嫁子が帰ってきた。
「おかえり。すぐご飯にする?今日は自信作」
「え、そうなの!じゃあすぐ食べる!」
私はまずは掛ける餡を作っていく。
醤油と酢と砂糖は同量で混ぜ、水でお好みの濃さにする。
鶏がらスープも少々入れ、沸騰したら水溶き片栗粉でとろみを。
卵二個にカニ缶を混ぜ、塩少々、多めの油でふっくらと焼く。
器に盛ったカニ混ぜご飯に、カニ玉を乗せて餡をたっぷり。
カニたっぷり天津飯の出来上がりだ、美味そうだ。
「嫁子さん、出来ましたよ」
「わー…、エッ、これは鶏のモミジでは」
あー、やっぱダメかぁ、豚足みたいなもんだしな。
まあ天津飯で物足りなきゃ、あとで何か作ってあげよう。
「貰ったから料理してみたけど、ダメなら無理しな…」
「やったー!よく動画で出てくるから食べたかったんだよ」
「お、おう、そうか。コラーゲンいっぱいだし沢山食べな」
「では、「「いただきます」」
豚足はダメで、鶏モミジは良いのか。
相変わらず嫁子の基準は読めんが、嬉しそうだし良いな。
天津飯を食べる。
…自画自賛になるが、こりゃ旨いですなあ。
カニ玉も美味いけど、中のカニ混ぜご飯が良い仕事。
炊く時にカニ缶の汁混ぜたのも効いてるわ。
モミジも美味しいな。
オカズって感じしないが、甘辛いのが天津飯の合間に丁度いい。
嫁子も手をベタベタにしながら食べてる。
きっと明日は唇やほっぺがプルプルになるよ、良かったな(笑)
「モミジって美味しいんだねえ。天津飯も何かちがったよ!」
「美味しいよね。天津飯は中にカニの混ぜご飯入ってる」
「ほー、そりゃ美味しいよね。いつもありがとうね」
こういう風に、真直ぐにお礼言ってくれる。
私は、そんな嫁子が好きで明日も料理を作るのです。




