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料理嫌いの嫁を家で待ちながら、無職夫は今日も夕食を作る~幸せ手抜き料理  作者: だい


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第20話:カスベとタコ頭は「食べらさる」

クリスマスも終わり、世の中が一気に正月ムードだ。


今日は、嫁子が売れ残ったケーキや丸鶏を狙うと気合いを入れてパートに行った。

でも、一昨日あれだけ探して無かったのを、忘れたのだろうか。


今日はあまり材料もないなあ、と冷蔵庫を漁る。


「ピンポーン」


ん? 誰か来たな。


「はーい?」


「どーも、これお裾分けね」


そこにいたのは私の姉。

どうやら、なにかお裾分けに来てくれたらしい。


「コーヒー位出すよ、入んなよ」


「いや、今日は忙しいの。嫁子ちゃんに宜しくね」


相変わらず、せわしない人だなあ……。


姉は昔からチャカチャカしていて、私は振り回されてきた。

しかし、いつもこうして気にかけてくれる。


さて、なにをくれたのかな?


お、タコだ。

タコと言っても、タコの頭。

北海道では、タコは足より頭が好かれている。


もう一つは何かな?

おー、カスベじゃないの。丁度食べたかったし、嬉しいなあ。


カスベとはエイのことだ。

北海道では、生のエイを普通に売っていて、よく食べる。

エイは臭いと思われがちだが、実は淡白で上品な、美味しい魚だ。


うーん、なかなかな量だねぇ(笑)。


北海道で食べられているタコは水タコという種類で、人間より大きくなることもある。

頭もスイカくらいはある。

それを半分くれたけど……多いよ。


タコは半分を冷凍して、あとは酢味噌と刺身だな。

カスベは煮付けは確定。嫁子が好きなバター焼きがいいかな。


よし、バター焼き以外は作っておけるから、作るか。


まずはタコの刺身だ。

半分のタコ頭を、ハサミでさらに半分に。

今のキッチンハサミは、皮もスパッと切れて嬉しい。


一つを冷凍にして、もう一つは皮を剥き、薄く切っていく。

あとは、ツマ代わりの大根サラダと盛り付けて、刺身の完成。


酢味噌用に胡瓜をスライスし、塩を振って、ワカメも戻しておく。

胡瓜から水が出たら、ワカメと共に絞っておく。

味噌に砂糖と酢を入れて、酢味噌の出来上がりだ。

残りのタコ頭と和えて、「タコ頭の酢味噌」が完成。


次は、カスベを煮付けていこう。

大きいから、身が多い部分と、いわゆるエイひれの部分に切っておく。

一度湯通しをして、冷水に浸けた後、水気を取る。


生姜を、皮を付けたまま二枚ほど薄切りに。

醤油と日本酒、砂糖と水で煮汁を作り、煮立てる。

そこにカスベと生姜を入れ、お玉で煮汁をかけていく。


色が変わったら落とし蓋をして、二十分ほどで完成だ。

食べる前に、早めに作っておくと、味が染みて美味しい。


しかし、タコ頭とカスベか。

北海道ではメジャーだが、他ではあまり食べない物尽くしだな。

まあ、私も嫁子も好物だし、いいか。


夕飯の準備が終わって一休み。

うーん、デザートも作ってあげようかな。


大きなマグカップに、アーモンドケーキという四個で二百円のカステラをちぎって入れる。

そこに、インスタントコーヒーを濃い目に入れたものを振りかける。


その上に、砂糖を入れたヨーグルト。

これを二層にして冷やす。

ココアを振って出せば、「なんちゃってティラミス」だ。

嫁子はこういうの大好きだから、喜ぶだろう。


お、雪が降ってきたなあ。

寒いし、路面が凍る前に嫁子が帰って来られたらいいな。


ウトウトしていると、玄関で鍵を開ける音がした。


「ただいまー、寒いよー、おなか減ったよー」


「おかえり。今日はカスベとタコ尽くしでーす」


「えー、それはノンアル飲まさるしょ!」


北海道では「〇〇さる」とよく使う。

これは自分でやっているのに、あたかも自分のせいではない、というように使う方言だ。


「食べらさった」「飲まさった」「眠らさった」

そりゃあしょうがないねえ、と意外と見逃されたりする魔法の言葉だが、

たまに内地の人からは

「自分でやったんでしょ?」

とガチギレされるので、注意が必要だったりもする。


「タコ頭は刺身と酢味噌だから飲まさるねえ。

カスベは煮付けとバター焼きだから、そっちはご飯が食べらさるよ」


「二キロ減ったのになあ。戻ったらパパが悪いよね」


理不尽なことを言われながら、カスベのバター焼きを作ろう。

煮付けの時に一緒に下茹でしていた身に、塩コショウ、少量のニンニクとバジルも入れて混ぜ合わせておく。


ジップロックに入れ、片栗粉と小麦粉を入れて衣を付ける。

たっぷりのバターでこんがり焼いていき、ブナシメジを入れる。

しんなりしたらIHから下ろし、醤油を一回しで完成だ。


「嫁子、出来たよー」


「はーい。では、「「いただきます」」」


今日は、カスベの煮付けからだな。

うーん、やっぱり甘辛く煮付けたカスベは旨いわぁ。

身はフワッとして上品、そこに甘辛い煮汁でゴハン泥棒だなあ。


もう一つの楽しみが、軟骨の触感。

エイひれの部分はコリコリと楽しく、

身のあたりの大きめの骨は、豚ばら軟骨の「パイカ」に似ている。


バター焼きは、私はヒラメのムニエルよりもカスベが好きだ。

カスベの美味しさに、バター醤油って間違いないよね。


嫁子を見ると、すでにノンアル二本目だ。


「美味しいかな?」


「うん、刺身も酢味噌も美味しい。やっぱりタコは頭だよね」


なにやら語りながら、嫁子の興味はカスベに移った。


どれ、タコ頭を食べようか。

タコ頭は、しっかりした歯ごたえとうま味がある。

安いから人気というが、美味しいのは足より頭だと思う。


そして、酢味噌だ。

私は酢味噌大好きだが、特にタコ頭の酢味噌が好きだ。

噛みしめると、タコ頭のうま味と酢味噌がたまらない。

一緒に入れた胡瓜とワカメもいい。


ゴハンに乗せたら、二膳目も食べ終わってしまった。

嫁子は三膳目をよそっている。


「パパはお代わり要らないの?」


「あー、忘れてたけど『なんちゃってティラミス』あるのさ」


嫁子は、しまった!という顔をして、三膳目を食べながらこう言った。


「見れば『食べらさる』から大丈夫だよ!」

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