第14話:牛肉の生姜和えとミカン入りポテサラ、とろろ汁
「なんか、今日は少し寒いし、温まる物でガッツリお肉食べれて、そのくせアッサリと食べれるゴハン食べたいです。……残業だし」
そんな、なかなかのムチャ振りを残して嫁子はパートに行った。
まあ、とはいえ年末だからと残業で頑張ってる嫁子の希望を、かなえてやりたいし、なんか考えるかな。
私は、メニューが指定ではなくて
「温まる物」「さっぱりした物」
のような希望を聞いたら、まずは頭の中で、今ある材料で作れそうなものを考えて献立を組み立てる。
結果、作った事ある料理にしようと思ったり、
「あの材料をこうしたら、こういう味になって美味しいのでは?」
など、初めて作る事も多い。
さて今日は何を作るかな。
温まって、ガッツリ肉食べれて、それでいてサッパリねえ。
肉は冷蔵庫の牛肉を見たんだろうな。
ローストビーフにでもしようかと思ってたんだけど、これでなんか作ろうかね。
ローストビーフは肉だし量食べれば良いし、サッパリはしてるけど、なんか違うよねえ。
温まる要素ないし。
うーん、温まるねえ……。
鍋じゃなんとなく、アッサリと違う気はするよね?
そうなると、他の材料とか香辛料で体を温めて、食べ口はアッサリ仕上げるのが良いのかな。
でも、嫁子はあんまり辛いのは苦手だから、唐辛子や山椒ってわけにもいかない。
生姜やニンニクで体を温める方向かな。
ただ炒めるのも、それはつまんないよなあ。
買っておいた牛肉は赤身だし、一度揚げてから、生姜やニンニク、ネギやナッツ入れたタレで炒め和える感じでいってみようかな。
……うん、美味しそうだ。
温まるし、ガッツリ肉食べれそうだしね。
野菜は無いけどw
次はどうするかな。
肉ガッツリってことだから、もう一品は肉じゃなくて、サッパリアッサリ系だよね。
うーん、ポテサラはどうかなぁ。
嫁子大好きだしね。
胡瓜もあるし、人参シリシリもある、ハムもミカンの缶詰もあるな。
常備菜もあるから、オカズはこれで良いだろう。
あとは汁ものだけど、どうしようかな。
冷蔵庫を見るけど、ピンとこない。
「小松菜の味噌汁も嫌いじゃないけどなあ」
と、冷凍庫もチェックしてみる。
うーんと、枝豆に玉葱にうどん、作り置きのミートソースか。
お、なんだこの白いのは?
「冷凍とろろ」
そういや、結構前に買ってあった気がするわ。
……とろろの味噌汁、すごくいいかも。
具無しみそ汁に、山芋や自然薯をすりおろしたものを入れて、一煮立ちさせた「とろろ汁」が好きなんですよ。
よし、メニューは決まった。
肉の生姜和えは、揚げてから和えるので、肉切って塩コショウしておく。
ポテサラは作っておこう。
味噌汁も作っておいて、とろろだけ後で入れよう。
では、まず牛肉の仕込み。
ハサミで無理ない程度の一口大に切って、軽くレンジでチン。
これは後で揚げるときは「揚げ焼き」だから、半生にならないように。
あとは後で片栗粉塗して揚げ焼きして仕上げ。
ボウルに、醤油と水、砂糖に鶏がらスープ。
生姜をチューブ一本、ニンニクは3センチほど。
食べるラー油を入れてタレを作っておく。
ポテサラは、今日はポテトフレーク使う手抜きだ。
まずは胡瓜をスライサーで薄切りにして、塩を振って水を出しておく。
人参シリシリはそのままでいい。
ハムは適当にハサミで細切れに。
ミカンの缶詰は実を半分だけ使う。
常備している、茹でたジャガイモを二個ほど、レンジで軽く温めて潰す。
ポテトフレークを入れて、熱湯入れながら、固めになるように蒸らす。
マヨネーズをいれる。
最終的な硬さは、ここで決める。
胡瓜を絞って、人参シリシリ、ハムと、一房を三つに切ったミカンを入れて、塩コショウで味を決めて出来上がりだ。
残ったミカンの缶詰は、牛乳と混ぜてから砂糖を入れて、熱湯で溶かしたゼラチンを入れたら「牛乳ミカンゼリー」になる。
家ではミカン以外でもよく作る定番だ。
なんせ簡単だしね。
さあ、味噌汁作ろう。
といっても、出汁入り味噌だから溶かすだけなんだけども(笑)
昔は、「やはり味噌汁くらい」とか思って、実際煮干しとか使ったんだけど、正直違いがわからん。
むしろ煮干しの生臭み感じるのよ。
調べると「頭と腹を取る」とか書いてるけど、日々食事作る度に、そんなことする暇ない。
ということで、出汁入り味噌派に。
正直、旨いよね。
私はこれに、仕上げにパック鰹節や顆粒だしを少し足す。
うーん、やはりいい味だよね。
よし、あとは嫁子待つだけだ。
夕方。
いつもより2時間遅く、いつもの声が響く。
「ただいまー、お腹すいたー」
「おかえり。すぐご飯出してあげる」
「えー、やったー! 手を洗ってくるね」
嫁子が手を洗ってる間に、味噌汁を温める。
フライパンで、サラダ油とごま油を多めに入れて、170℃へ。
牛肉をポリ袋に入れて、片栗粉をまぶす。
油が温まったら牛肉を入れていく。
軽く火を通してあるので、こんがりと焼き色がついたら大丈夫だ。
油を切っている間に、温まった味噌汁にとろろを入れて一煮立ち。
油切った肉にタレを絡めて、ネギも塗したら完成だ。
「嫁子ー、できたよー」
「はーい。おー、お肉いっぱいだ! ポテサラはミカン入りだね!」
「では、いただきます」
「あ、今日の味噌汁はとろろ汁だから、熱いから気をつけてね!」
とろろ汁は、いつまでも冷めないので気を付けないと危ないのだ。
私と嫁子は、やけどに気を付けて、ゆっくりと啜っていく。
思わず、ホウっと声が出る。
とろろ汁って、見た目は良くないけど、しみじみと旨い。
さて、牛肉の生姜和えを食べてみよう。
初めて作ったけど、系統が似てる料理は色々作ったし、大丈夫だろう。
うん。
肉は赤身に衣付けて揚げたから、適度に油っこくていいな。
そして、たっぷりの生姜にニンニクとネギ、ラー油が体を温めてくれる。
和えてるからサッパリ食べれるし、タレのナッツが効いてるなあ。
嫁子も、リスみたいになってるし、成功かな。
ポテサラはどうだろう。
お、たまにミカン入り、美味しいなあ。
家はリンゴもよく入れるんだけど、最近はあまり入れないらしい。
これに少し醤油かけても美味しいんだよね。
「どう、嫁子?
温まって、肉をガッツリ食べれて、しかもアッサリ食べられるご飯、作ってみたけど」
「美味しいよ、パパ! 最高!」
今日も嫁子が喜んでくれて嬉しい私なのでし……あっと、いけない。
「嫁子、そういえば今日は牛乳ミカンゼリーもあったわ!」
「パパー、そういうことは、お代わり前に言ってよー」
そう言いながら、三杯目のご飯を食べる嫁子が、可愛いと思う私でした。




