表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

第19話:イベントでスベる

第19話A「観客の視線、凍る空気」【天乃つかさの演技】


【SNS】

天乃つかさ @shirokuro_tsukasa_official

2025/06/23 10:00:00 JST ID:shiro_kuro_t

今日はファンイベントでした!

会場の皆さんと直接お話しできて嬉しかったです。

でも、トークはまだまだ練習が必要だなぁ…

#声優の仕事 #ファンイベント #トーク苦手


---


ステージの照明が眩しい。

会場には、たくさんのファンが私とあすかの登場を待っていた。

今日は、私たち「しろくろボイス」のファンイベント。

緊張と、ファンへの感謝の気持ちで胸がいっぱいになる。


「それでは、ここで、天乃つかささんから、とっておきのジョークをお願いします!」

MCの声が響く。


観客の視線、凍る空気


事前にマネージャーから渡された、ファンが喜びそうなオタク向けジョークを披露する。

「えーと、私の推しは、ゲームのキャラで……えっと、二次元は裏切らない、ですよね?」

会場は、静まり返った。

シーン、と音が聞こえるほどだ。

客席の視線が、まるで鋭い刃物のように肌に突き刺さる。

スベった瞬間の空気の重さに耐えられず、穴があったら入りたい気持ちになる。

顔が熱くなり、耳まで真っ赤になる。全身の血が逆流するような感覚。

「あの空気、一生忘れられない」と心に刻む。


隣にいるあすかを見ると、いつものようにニヤリと笑っている。

その冷徹な視線が、私をじっと見つめている。

私の失敗が、あすかには面白く映っているのだろうか。


後日、別の声優が同じようなネタで大爆笑を取るのを目にした。

自分のトーク力のなさに打ちのめされる。

自分のネタが悪かったのではなく、言い方やタイミングの問題だったと気づく。

唇を噛みしめ、悔しさに顔を歪める。その唇から、微かに血の味がする。


ファンを掴む難しさと、自分の引き出しの少なさを痛感する。

次こそは成功させたいと、リベンジを誓う。


【SNS】

名無しの陽炎生徒 2025/06/23 15:30:15 ID:voice_fan_m

姉ちゃんのジョーク、まさかの大スベりwww

でも、その顔が可愛かったから許す!

頑張れ、姉ちゃん!


名無しの陽炎生徒 2025/06/23 15:32:40 ID:mic_check_ok

あの空気感、声優のイベントあるあるだよなぁ。

プロでもスベるんだから、トークって難しいんだな。


百合オタ女子 2025/06/23 15:35:05 ID:yuri_chan

姉ちゃんがスベってるのに、妹ちゃんは楽しそうにしてるの、最高…!

妹ちゃんの表情、全部お見通しって感じで萌える…!


---


第19話B「姉の失敗は、最高のエンタメ」【天乃あすかの演技】


【SNS】

シロコロロ @shiro_kororo_voice

2025/06/23 10:05:00 JST ID:voice_produ_s

「ファンイベント」を分析。

失敗は、感情を剥き出しにする最高の舞台。

姉の恥は、最高のエンタメ。

全ては、姉への支配を強化するため。

#観察記録 #支配 #百合営業の極意 #天乃つかさ


---


ステージの照明が眩しい。

会場の熱気は、姉ちゃんの緊張をさらに高めているだろう。

今日は、私たち「しろくろボイス」のファンイベント。

姉ちゃんの失敗は、最高のエンタメになる。


「それでは、ここで、天乃つかささんから、とっておきのジョークをお願いします!」

MCの声が響く。


姉の失敗は、私の愉悦


姉ちゃんは、マネージャーから渡されたオタク向けジョークを披露する。

「えーと、私の推しは、ゲームのキャラで……えっと、二次元は裏切らない、ですよね?」

会場が、静まり返る。

姉ちゃんの顔色がみるみる変わるのを視線で追う。その顔は、みるみる赤くなっていく。

スベった後の姉の挙動不審な様子を見て、「あれは事故だ」と分析する。

その空気感をスマホでこっそり録画し、自分の反面教師にする。

姉の焦りからくる微かな震えが、隣に立つ自分にも伝わってくる。

「姉ちゃん、チョイスが古い」と心の中でダメ出しする。

それが、たまらなく愛おしい。


ファンの心を掴む難しさと、自分の引き出しの少なさを痛感する。

次こそは成功させたいと、リベンジを誓う。


私の計画は、姉の羞恥で加速する


後日、別の声優が同じようなネタで大爆笑を取るのを目にした。

「これ、もっとバズるのに」と残念がる。

自分がイベントに出るならどうするかを考え、SNSで人気のネタを仕込むことを決意する。

姉がスベったネタをどうアレンジすればウケるか試行錯誤する。

自分の指先で、姉の肩にそっと触れ、その熱を感じ取る。

姉の恥ずかしがり屋な一面を活かし、SNSで「#姉の限界トーク」を匂わせる投稿を計画する。

姉の反応を見て、百合営業のネタにできると確信する。

全ては、私の計画通り。

姉ちゃんは、私の掌の上で踊っている。


【SNS】

名無しの陽炎生徒 2025/06/23 15:40:00 ID:voice_fan_m

黒ちゃん視点、最高すぎ!

姉ちゃんの失敗をエンタメにするとか、マジで悪魔かよ!

でも、それが最高に尊い…!


名無しの陽炎生徒 2025/06/23 15:42:30 ID:mic_check_ok

妹ちゃんの戦略、恐ろしい…

姉ちゃんが可哀想になってきたけど、この歪んだ愛が最高に沼!


百合オタ女子 2025/06/23 15:45:00 ID:yuri_chan

姉ちゃんの苦痛が、妹ちゃんの喜びになってる構図、最高に歪んでて萌える…!

この姉妹、沼が深すぎる!


次回予告


あすか「ねえ、姉ちゃん。今度のドラマ、共演者とキスシーンあるらしいよ?私が見ててあげるね♡」

つかさ「っ!?あすか、ま、まさかっ!?そんな、見ないでっ!?」

あすか「ふふ。姉ちゃんの困った顔、ファンも喜ぶから、大丈夫だよ♡」

つかさ「ひぃっ!?あすかー!!」


第20話:元カレと共演

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ