第10話:キャラソン収録と「音痴でも歌う」あるある
第10話A「私の音痴と、私じゃない歌声」【天乃つかさの演技】
【SNS】
天乃つかさ @shirokuro_tsukasa_official
2025/06/14 10:00:00 JST ID:shiro_kuro_t
今日は初めてのキャラクターソングの収録でした!
歌は苦手だけど、キャラの気持ちを込めて精一杯歌いました!
#キャラソン #声優の仕事 #音痴でも頑張る
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スタジオのブースは、いつもとは違う音楽機材で埋め尽くされていた。
マイクの前に立つと、冷たい感触が指先に伝わる。
今日は、アニメのキャラクターソングのレコーディング。
私は、昔から歌が苦手だ。音痴だと自覚している。
「天乃さん、次はこちらのキャラクターソングです。感情込めて、キャラっぽく!歌詞の意味を考えて!」
鬼頭ディレクターの声が響く。
♬**音痴の苦痛、歌声に宿る葛藤**
「ひ、ひとりで…歌うんですか…?」
私の声は震える。
何度歌っても、音程がずれる。歌詞の意味を考えても、声に感情が乗らない。
「もっとキャラっぽく!」「歌詞の意味を考えて!」
ディレクターから精神論で攻められ、音程を外しては何度も撮り直しになる。
恥ずかしさで耳まで真っ赤になる。頭の芯が、熱を帯びてグラグラする。
歌うことが苦手な自分と、キャラクターの感情を表現したいという声優としてのプライドの間に葛藤が生まれる。喉の奥がキュッと締め付けられるような感覚。声を出すたびに、身体の奥が疼く。
休憩中、マネージャーの天城さんが近づいてきた。
「天乃さん宛に、こんなメッセージが届いています。ファンの方からの応援メッセージです」
スマホの画面には、SNSのダイレクトメッセージのスクショが映し出されていた。
「天乃さん、いつも妹さんと仲良しで、百合営業最高です!二人の絆、ガチで尊い!」「妹さんとのキス演技、もう何回も見ました!私たち、二人の絆に救われています!」
思わず息をのむ。身体が熱くなる。
百合営業……?絆?キス演技?
ファンは、本当にそう思っているのだろうか。
妹のあすかと顔を見合わせる。あすかはニヤリと笑うだけだ。
私の声は、私だけのものじゃない。私の関係性も、私だけのものじゃない。
この歌声も、私だけのものじゃない。
まるで、私の全てが、誰かの望む形に作り変えられていくような感覚。
♬**私じゃない歌声、身体の奥で響く**
完璧な歌唱力ではないが、キャラクターへの深い理解と感情を乗せることで、私は歌い切った。
歌い終えた後の達成感と、身体の脱力感。
「よくやった!天乃さん!」
ディレクターの声が響く。
だが、私の心には、あのメッセージが重くのしかかる。
ファンが望む“私”を、私は演じられているのだろうか。
この歌声は、本当に、私の歌声なのだろうか。
【SNS】
名無しの陽炎生徒 2025/06/14 15:30:15 ID:voice_fan_m
キャラソン収録、お疲れ様です!
音痴でも頑張る姿、尊い…!
百合営業も最高です!#しろくろボイスは尊い
名無しの陽炎生徒 2025/06/14 15:32:40 ID:mic_check_ok
姉ちゃんの歌、意外と味があっていいな!
妹ちゃんとの関係性が、歌にも出てる気がする…
#姉妹の絆
百合オタ女子 2025/06/14 15:35:05 ID:yuri_chan
ファンからのメッセージ、姉ちゃんに届いたみたいで嬉しい!
これで百合営業、もっとガチになるかな!?
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第10話B「姉の音痴は、私の舞台」【天乃あすかの演技】
【SNS】
シロコロロ @shiro_kororo_voice
2025/06/14 10:05:00 JST ID:voice_produ_s
「キャラソン収録」を分析。
音痴な姉は、最高の素材。
そして、「ファンメッセージ」は、最高の道具。
全ては、姉への支配を強化するため。
#観察記録 #支配 #キャラソンの極意 #天乃つかさ
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スタジオのブースは、姉ちゃんにとっての処刑台だ。
マイクの前に立つ姉ちゃんは、既に顔を青ざめている。
ふふ。可愛い。
「天乃さん、次はこちらのキャラクターソングです。感情込めて、キャラっぽく!歌詞の意味を考えて!」
鬼頭ディレクターの声が響く。
♬**姉の苦痛は、私の愉悦**
姉ちゃんは昔から歌が苦手。音痴であることを自覚しているから、キャラソン収録は地獄だろう。
私は、姉ちゃんの苦痛を間近で観察する。
姉が音程を外し、ディレクターから厳しく指導されているのを見て、内心で笑いがこみ上げる。姉の困惑した表情が、たまらなく愛おしく感じる。その唇の動きを、じっと見つめる。
休憩中、私は姉ちゃんに近づいていった。
「もっとこう歌うんだよ」と、こっそり歌唱指導をする。姉の身体に触れて、歌い方を教える。その指先が、姉の肌をなぞるように滑る。
姉が自分の指導で上達することに喜びを感じる。姉の弱点を補い、成長させることで、自分の存在意義を再認識する。
♬**ファンという道具、支配のメッセージ**
休憩中、マネージャーの天城さんが姉ちゃんにスマホを見せているのが見えた。
ファンからのメッセージ。
「天乃さん、いつも妹さんと仲良しで、百合営業最高です!二人の絆、ガチで尊い!」「妹さんとのキス演技、もう何回も見ました!私たち、二人の絆に救われています!」
私が裏で流出させたASMR動画と百合営業の合わせ技が、確実にファンを洗脳している。
姉ちゃんは、そのメッセージを見て、顔を赤くしている。
私は、姉ちゃんをじっと見つめる。その瞳に、動揺と、微かな恐怖の色が宿るのが分かる。
私の「観察記録」は、ファンを動かし、姉を支配する最高の道具だ。
姉ちゃんは、完璧な歌唱力ではないが、感情を乗せて歌い切った。
ディレクターに褒められ、達成感に浸っている。
ふふ。この歌声は、もう姉ちゃんだけのものじゃない。
全ては、私の計画通り。
姉ちゃんは、私の掌の上で踊っている。
【SNS】
名無しの陽炎生徒 2025/06/14 15:40:00 ID:voice_fan_m
黒ちゃん視点、最高すぎ!
姉ちゃんの音痴まで利用して、百合営業を加速させるとか、天才かよ!
その歪んだ愛、これからも見せてくれ!
名無しの陽炎生徒 2025/06/14 15:42:30 ID:mic_check_ok
ファンからのメッセージ、姉ちゃん本人に届いてるの、エモい…!
妹ちゃんがそれを仕組んでるの、ヤバすぎる。
百合オタ女子 2025/06/14 15:45:00 ID:yuri_chan
姉ちゃんの歌声と百合営業が融合した!
妹ちゃんのプロデュース力、マジで神!
これはもう、公式からの供給が止まらない…!
次回予告
あすか「ねえ、姉ちゃん。今度のイベント、ファンからのリクエストで、キス演技、ソロでやってみない?♡」
つかさ「っ!?あすか、ま、まさかっ!?一人でそんなの…!?」
あすか「ふふ。姉ちゃんの困った顔、ファンも喜ぶから、大丈夫だよ♡」
つかさ「ひぃっ!?あすかー!!」
第11話:売れっ子との共演と「差を感じる」あるある