第二十一話 ギルド任務を受ける?(1)
「ココリちゃん、固定パーティーとかあるの?」
「固定パーティー?」
「そうそう、この前一緒にいたミノタウロスは?」
「ミノタウロス?……あぁ、ウィルスのこと?」
「多分そうだと思うけど?」
アイリが小首をかしげて考え込みながら聞いてくる。
「彼って、ココリちゃんのパーティーメンバーなの?」
「えっと、違うよ~。たま~に一緒に組む友達ってだけ。」
ココリは首を横に振る。
「実は固定パーティーはまだ無くてね。ほら、冒険者って収入が安定しないじゃない?だから普段はアルバイトしながら、いい依頼があった時だけ誰かと組む感じなの。」
「それならちょうどいいじゃない!じゃあ、ウチのパーティーに入っちゃお!これでウチのパーティーは完成だよね、ジル?」
「ココリちゃんが入ってくれるの?」
ジルはぱっと顔を輝かせて、期待のこもった視線を送る。
「……入ってもいいけど、私そんなに強くないよ?」
「これで、姉御とサス、サジ、それに私とココリちゃんで、合計5人だね!」
ジルは指を一本一本折って数える。
「……五人?」
アイリがきょとんとした顔をしたかと思うと、何かを思い出したように「あ、タイタンジャイアントのサグのこと、すっかり言ってなかった!」と心の中で頭を抱える。……いや、自分でもさっきまで完全に忘れてたけど。
「え、そんなに仲間がいたの?」
ココリが目を丸くする。てっきり新人二人のパーティーかと思っていたのに、まさかもうこんな人数が揃ってるなんて。
ジルは胸を張ってこくり。
「そうだよ、みんな私よりずーっと強いんだから!今度紹介するね。」
「じゃあ、パーティー名は?これからの計画とかはあるの?」
「パーティー名?」
アイリとジルは同時にぽかんとした顔で――「計画って?」
「え?」
二人の首傾げシンクロに、逆にココリの方が面食らう。
「普通、パーティーを作るならまず名前決めるでしょ?あと目標とか、どう活動していくかとか……」
「全然考えてない。」
アイリとジルは息ぴったりに同じ答えを返す。
「……え、これ、もしかして危ない船に乗っちゃった?」
「そんなに大事?」
ジルが本気で不思議そうに尋ねる。
「うーん、大事……なのかな……?」
ココリは即答しようとして、ふと黙り込む。
――遺忘者ってそもそも、基本『好き勝手に生きてる(死んでる?)』連中だしなぁ……。
「じゃあ、パーティー名は『ネクロ・グリッターズ』で、目標は『グラ王の墓を完全攻略』ってことで!」
アイリが突然割り込む。
「……それでいいの?」
ココリは一瞬ためらいながらも、少し考えてから、「まぁ……それでもいいかな」と肩をすくめる。
「決まりだね~!」
アイリは指を鳴らし、あっさりとパーティー名と目標が確定。
アイリにとっては、名前や目標なんて二の次だ。大事なのは、パーティーの安全性が高まること。
けれどココリは物事をきちんと形にしたいタイプらしく、そんな彼女のために、エイリは急ごしらえで名前を決めたのだった。
ジルはというと――そもそも何も考えていない。今の生活が楽しい、それだけで十分だった。
「ココリちゃん、新しい装備買う予定とかあるの?」
アイリが、テーブルに置かれた鑑定スクロールに視線を向ける。
「うん。一応、ネクロプリースト用の装備って少し割引があるから高すぎることはないんだけど……」
ココリは困ったように眉を下げる。
「でも、生産量が少なくてね。探してもなかなかいいのが見つからないの。大体は魔法使い用の性能ばかりだし……。装備を更新しないわけにもいかないし、ほんと悩ましいよ。」
「今ウチのパーティーには、ピカピカのネクロプリースト用装備があるんだよ~♪」
アイリがちょっと歌うような調子で言うと――
「ピカピカのネクロプリースト用装備があるんだよ~♪」
ジルも完全に同じ調子で復唱。
アイリは、幽月装備を鑑定したスクロールをココリに差し出し、さらに歌う。
「はい、今からこれはココリちゃんの物で~す♪」
「今からこれはココリちゃんの物で~す♪」
またもジルが後を追うように歌う。
「えっ、これ……私に?」
ココリは信じられないという顔でスクロールを見つめる。
「それって、もしかしてギルド會長に鑑定してもらったあの装備じゃない……?」
「そーですよ~♪」
アイリはまた歌い、ジルも続く。
「これ、すごく高価でしょ!」
ココリは慌ててスクロールを返そうとするが、エイリがその手を押さえる。
「いいから受け取って。だって、ココリちゃんはウチの大事なネクロプリーストなんだから!」




