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第二話 スコップの本当の使い道?(3)

目の前に現れた、今まで見たことのないほど巨大な魂の火。

アイリは考える間もなく、スーッと吸い込んだ。


その瞬間――


「な、なんか……元気になりすぎたかも……」


精神がブワッと活性化する。目が冴えすぎて、むしろ違和感しかない。

例えるなら、七分目くらいでちょうどよかったのに、そこへ特大スイーツを無理やり押し込んだ感じ。


「うぅ……お腹パンパン……吐きそう……。

え? まだ7個しか吸ってないのに?」


……そう、アイリは知らなかった。

**指導者エイヴァの言った「10個まで」**という制限は、低級アンデッドの話に過ぎないということを。


まさか、ひとりで中級アンデッドを倒してしまう新生者が現れるなんて、想定外すぎた。


さらに数分後――

アイリは急激な眠気に襲われた。


「眠……い……めっちゃ寝たい……」


普通の生き物も、食べすぎたら眠くなるもの。

だが、不死者にとってそれは**“成長の兆し”**である。


魂の炎が限界まで満たされたとき、不死者は**“眠り”に入ることでエネルギーを消化**し、

肉体を強化する性質があるのだ。


だから、ほとんどのアンデッドは

「起きては食べ、満たされれば眠る」

そんなループを延々と繰り返して生きている。


そして“眠る場所”として最も安全なのが地下。

だからこそ、アンデッドはよく地面から這い出てくるわけである。


だが、遺忘者は違う。


生まれたときから高度な知性を持ち、

“ただ食って寝るだけの存在”ではなく、文明を築く存在となった。


遺忘者の中には、歌が好きな者、絵を描くのが好きな者、ゲームが好きな者……

生前の記憶や好みが魂に刻まれており、死後もそれが行動に現れる。


だからこそ、遺忘者はスキルの習得が異様に早いのだ。


「……早く帰って寝たい……」

アイリは、落ちかけるまぶたを指でこすりながら、

キラキラしたスケルトンの残骸を見つめる。


「こいつ……なんか使える気がする」


そう直感し、

落ちていた頭骨を拾い――「カチッ」と強引に首に接続!

片手にスコップ、片手にスケルトンをズルズルと引きずりながら、

転生の尖塔へ帰還した。


塔に戻ったアイリは、迷うことなくあの石のベッドに向かい、

スケルトンをポイッと放り捨て、ぴょこんとベッドに横になる。


そして――即・爆睡。


眠りの中で、彼女は断片的な記憶を垣間見る。


「妹……助けて……」


――苦しげに呟く自分。


そして、現れたのは、顔の見えない人影。

その人物は、冷たい声でこう言った。


「……お前が生きてる限り、私は永遠に報われない。

――じゃあね、愛しの“お姉ちゃん”。」


次の瞬間、映像はぷつんと断ち切られ――


「ん? また転生者か?」


「え……なんかこの顔、見覚えあるな?」


「うっさいなあ!!」


ズバッ!

何かを掴んで、音のした方へ全力投擲!


ドゴッ!


そこに立っていたのは――頭にスコップが突き刺さっている、あのランプ男だった。


スコップの刺さってる場所には、つい最近縫われたばかりの傷跡がうっすら見えている。


「……お前、なんでここにいんの?」

アイリが冷静に問いかける。


「こっちのセリフだわぁぁぁあっ!!」


ランプ男は激昂しながらスコップをぶっこ抜き、顔を真っ赤にして叫んだ。


「お前ってやつはあああっ!!」


「寝てたんだよ。邪魔しないでよね?」


「もう転生してから何日も経ってるのに……まだここで寝てるなんて!」」


「え? いやいや、私ちょっと昼寝しただけだって。

何言ってんの、あんた?」


「もう五日も経ったんだぞ!

……はぁ、もういい。付き合いきれん、行くわ!」


「はーい。気をつけてね~」

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