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第十八話 冒険者ギルドに入るの?(1)

「止まれ。」


安寧の町の門が見えてきたその時、門番の鋭い声が響き、アイリとジルは足を止めた。

だが彼らの顔に浮かんだ警戒の色は、遺忘者だとわかると少しだけ和らいだ。


「見ない顔だな。新人か?」


「最近転生したばかりです。ここに来るのは二度目です。」

アイリが頷いて答える。


「登録は済ませているか?」

門番は青い手帳を取り出しながら問いかけた。


「あるよ!」

ジルは背伸びして手を振り、なんだか嬉しそうに返事をする。


その時、聞き覚えのある声が横からした。


「ああ、やっぱりお前たちか!」


振り向くと、そこにいたのは以前、街に入るときに対応してくれたトピッドだった。

だが――


(……片腕が、ない……?)


左腕が肘から先ごと消え、体もひどく疲弊しているのが見て取れた。

近くにいる他の門番たちも皆、目に宿る魂の火が弱々しく、覇気がない。


「おじさん、どうしたの……?」

ジルが声を上ずらせる。


青い手帳を持った門番がトピッドを見やる。


「知り合いか?」


「ああ。一か月ほど前にこの子たちの登録を手伝ったんだ。…覚えてるさ、目立つ二人だからな。」

トピッドはぎこちない笑みを浮かべた。


「だが手続きはちゃんとしないといけない。」


門番は淡々と言い、手帳を差し出した。


「登録済みなら、この手帳に魂の気配を流し込んでみろ。名前が浮かび上がる。」


アイリとジルが順番に魂の気配を送り込むと、手帳に二人の名前がふわりと現れた。


確認を終え、門番の緊張が少し緩む。


「問題ない。通っていいぞ。」


そう言ってから、トピッドを振り返る。


「トピッド、お前は交代の時間だろう。もう休め。」


「ああ……じゃあ、一緒に入ろうか。」


門をくぐり、街の中へ入る。

アイリが何か言おうとしたその時、先にトピッドが口を開いた。


「間違ってなければ、君たちが町を出たのは一か月前だよな?」


「そうだよ。ジルと姉御でグーラ王の墓を攻略してたんだよね。一か月以上……」


「……すごいな。」

トピッドは素直に目を見張った。


「新人で、ダンジョンをそんなに長く……初めて見たよ。君たち、転生してまだ二ヶ月くらいじゃなかったか?」


「えへへ……」

ジルは照れくさそうに頬をかいた。


だが――


安寧の町へ歩みを進めると、アイリはすぐに気づいた。

街のあちこちに破壊の跡が残り、崩れかけた建物も少なくない。

以前は道沿いに立ち並んでいた露店もほとんどが閉じられ、わずかに残った店も店主たちは力なく座り込んでいるだけで、客を呼ぶ声すら聞こえなかった。


「……何があったんですか?」


アイリの問いに、トピッドは険しい顔で小さく息を吐いた。


「……お前たちは運が良かった。あの惨事を避けられたんだからな。先週、安寧の町は襲撃を受けたんだ。広場じゃ、多くの新人の遺忘者が殺された……連れ去られた仲間も少なくない。」


トピッドの目に悔しさがにじむ。


「すべてがあまりに突然でな……守備隊も反応する間もなかった。いや……そもそも、こんなことが起こるなんて誰も思っていなかった。」


アイリとジルは顔を見合わせ、言葉を失った。

安寧の町が襲われるなど、想像もしていなかった。


「死んだのは遺忘者だけじゃない。一般の住民や守備の仲間も多くやられたんだ……」


「……アンデッドに襲われたんですか?」

信じがたい思いを押し隠し、アイリは問い返す。


「いや、違う。」

トピッドはゆっくり首を振った。


「人間だ……狂った連中さ。俺たちのことを『汚れ』『邪悪』『存在してはならない穢れ』だと言って、根絶やしにしようとする。捕えた同族を研究材料にして、ひどい実験を繰り返す連中だ。」


「そ、そんな……」

ジルは小さく震え、唇を噛む。


「奴らはこれを『聖裁』と呼んでいる。自分たちの教団の名も『聖裁』だ。もし今後お前たちが遭遇したら……絶対に捕まるな。逃げられるなら、すぐにでも逃げろ。」

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