第十七話 新たなる危機?(1)
「……ここはどこ?」
アイリはきょろきょろと周囲を見回した。
そこはまるで小宇宙のような不思議な空間で、星々がきらめき、無数の光点が漂っていた。手を伸ばせば届きそうなのに、実際に触れようとすると、果てしなく遠ざかっていく。
――たしか、さっき眠りに落ちたはず。
(まさか夢なの?)
でも、私たち遺忘者は夢なんて見ないはず……。
(ここはいったい?)
「ジル!」
「ジル、どこにいるの!」
返事はない。
アイリは不安を押し殺しながら、とにかく足を前へ運んだ。どこに向かっているのかも分からず、ただ無意識に歩きながらジルの名を呼び続けた。
やがて、空間に数えきれないほどの扉が現れた。
それらは形も大きさもまるで統一感がない。
質素な木の扉、煌めく宝石がびっしり嵌め込まれた金属の扉――まるでバラバラに浮かんでいた。
「……頭の上にもあるじゃん……あれ、どうやって開けろっていうのさ?」
呆れながら見上げた次の瞬間――
体がふわりと宙に浮き上がり、その木の扉の前まで運ばれた。
「体が……飛んだ!?」
横になった姿勢のまま扉に手を伸ばし、取っ手を掴む。
カチャ……カチャ……。
「うーん、開かない。」
力を込めても、びくともしない。
苛立ったアイリは指先を紫に光らせた。
「シャドウアロー!」
「ドン!」と鈍い音が響いたが、木の扉は無傷。
「もう一発!」
「ドドドドドン!」
何発も撃ち込んだが、結果は同じだった。
「たかが扉のくせに、やたら偉そうじゃない!?」
どうしても開けたい。
――中に、自分が失くした何かがある気がする。
次の瞬間、《悪魔の皮膚》を発動。
青白い肌が漆黒に染まる。
これが今の自分の最大火力だ。
指先を扉に向け、渾身の一撃を叩き込む。
「ドン!」
……やはり、びくともしない。
「……もう別の扉にする。」
ため息をつきながら、隣の扉へ移動する。
だが、そこも施錠されていた。
さらに別の扉も……全部同じだった。
一枚も開かない。
「……はぁぁぁぁぁぁ。」
理不尽すぎて、心底うんざりした。
そのとき。
前方で、まぶしい光が一閃した。
「……?」
扉を放り出し、アイリは光の方へ体を向ける。
自然に、体がそちらへ滑るように進んだ。
そこにあったのは――
巨大な白い炎。
自分の何倍もある炎の塊が、無音で燃え盛っていた。
だが不思議と、熱さは感じられない。
「何これ……」
しばらく見つめていると、白い炎は徐々に勢いを失っていった。
小さくなり、暗くなる。
――そして。
炎の中心から、深い蒼の炎が現れた。
蒼の炎は脈打つように膨れ上がり、あっという間に白い炎を飲み込んだ。
「ドン!」
深い蒼の炎が突然炸裂した。次の瞬間、無数の青い火花が四方八方へと飛び散る。
視界を覆い尽くすほどの強烈な蒼光。
アイリは思わず両手で目を覆った。
6月もそろそろ終わりですね。
6月中旬から仕事を始めたこともあって、どうしても執筆のペースがかなり落ちてしまいました。
もう6月の初めの頃のようなスピードでは更新できなくなっています……。
もし可能であれば、1日に何とか1000字くらいは書きたいと思っています。




