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第十四話 楽しい収穫タイム?(4)

ウィルスたちと別れた後、アイリとジルはふたたび冒険を再開した――が、大広間を出てから三十分も経たないうちに、大量のアンデッドに襲われてしまった。


「ヘイトスピンッ!」


ジルは即座に五角形の大盾を構え、《ヘイトスピン》を発動。周囲の敵のヘイトを引き寄せ、大半のアンデッドの注意を自分に集中させた。

……が、数体のスケルトンがそれに釣られず、アイリのほうへと突進してくる。


「シャドウアロー。」

アイリが指先を軽く弾くたびに、突進してくるスケルトンたちの頭が次々と直撃を受け、ドガンッ!と音を立てて粉々に砕け散っていく。

魂の炎が以前よりも強くなった今では、たとえ初級魔法でも、その威力はまったくの別物だった。。


もちろん、仲間が倒されても、アンデッドたちはお構いなし。協調性なんて言葉は彼らの辞書にはない。黙々と、ただジルへと拳を振り下ろしてくる。


ジルは《ヘイトスピン》の直後、《ガーディアン》を重ねがけ。

薄い黄色のバリアが彼女の身体を包み、被ダメージを軽減する。五角大盾の物理ダメージ軽減エンチャントと合わせて、たとえ頭をガンガン殴られてもびくともしない。


――とはいえ、ジルだって黙って殴られてるわけじゃない。

四方八方からの攻撃を避けつつ、隙を見つけてはロングソードで反撃。腐った死体の胸を貫き、スケルトンの空っぽな眼窩に刃を突き刺す。魂の炎を直接叩くのが、不死者には一番効くのだ。


かつて、たった五体のスケルトンにビビっていたあのジルが……今じゃこんなにも頼もしくなってるなんて。うん、成長したなぁ。


もちろん、アイリも黙って見てるわけがない。

襲ってきたスケルトンを撃破した後、指先を三度弾く。紫の閃光が三本、ジルの周囲のアンデッドへと飛び、見事に命中。ジルの負担を軽減してくれた。


とはいえ、魂力は有限。無駄撃ちはできない。

ある程度数を減らしたところで、アイリはスコップを構えて前線に突撃する!


バン!

振り下ろされたシャベルが、ジルに向かって手を伸ばしていたゾンビを吹き飛ばす。

そのまま回転し、勢いを乗せてもう一発――別のスケルトンの頭部をフルスイング!


――うん、この魔法職、明らかに前衛職だよね。

もはやジルよりも戦士っぽい。スコップの扱いも一周回って勇者レベル。


ジルもアイリに負けじと奮闘する。大盾を鈍器代わりに振るい、「バキン!」とスケルトンの顎を吹っ飛ばし、ロングソードでゾンビの胴を裂いた。


アンデッドの群れを蹴散らしている最中、通路の向こうからドドドッと足音が響く。


「姉御! 前から来るよ!」


ジルの叫びに、アイリが前を見ると──そこには新たな白骨の群れが、通路を埋め尽くして押し寄せてくるところだった。


「気をつけて、準備して!」

アイリは落ち着いた声で警告する。まだ第二層に入ったばかりなのに、この密度って……本当に三倍だけ? ウィルス、あんたまさか――騙した!?


とはいえ、相手が普通のスケルトンなら、まだマシだ。

進化型じゃないなら、戦う価値はある。


ただし、数が多すぎる。まともに正面からぶつかれば、たちまち押し潰される危険もある。

ジルは再び《ヘイトスピン》を発動。

アンデッドたちの注意を引きつけてアイリの退路を作る。アイリはその隙に後退し、距離と時間を稼ぎつつ、敵との距離を計測した。


──あと100メートル……今だ。


「スワンプ!」

指先を前に突き出し、一級魔法スワンプを発動!


本来ならば平坦な通路が、次の瞬間にはドロドロの沼地へと変貌した。

逃げ場のない直線通路に、沼。脳みそのないスケルトンたちには避けようなんて発想はない。というか、何が起こったのかすら理解していない。勢いそのまま、次々とズボズボ沼に沈んでいく。


そして、後ろから来たスケルトンたちは先に沈んだ同胞の上を踏みつけて走り――同じくズブズブ。


「……ちょっと、あまりにもバカすぎない?」


我ながら呆れ気味にアイリはつぶやいた。


わずか十秒で、10平方メートルにわたるエリアがスケルトンでぎっしり埋まった。

効果終了とともに、地面はカチカチの泥へと変化し、頭や上半身だけを突き出したスケルトンたちは抜け出せず、ジタバタしている。


魔法による地固め効果は、自然の地面よりも遥かに硬い。

スケルトンたちは身動きが取れず、ただ頭をガクガクさせるのみ。


そんな中、アイリの唇がふっと吊り上がる。


スコップを構えながら、笑顔でこう言った。


「さて、収穫の時間だねぇ……」


「ね、姉御が……めっちゃ怖いんだけどぉ!」

ジルの目には、まるでアイリの背後に悪魔の影が見えた気がした。

……そう言いつつも、ジルは素直にその“収穫作業”に参加していた。。


スケルトンたちが出てこられないうちに、頭を砕いていく。

「カキン!」「ガシャン!」「バギィン!」

まるで地獄の音楽のように響く骨の破砕音が、通路中に鳴り響く。


──アイリとジルが「スケルトン農場ごっこ」で大はしゃぎしていたその時だった。

突如として、一筋の黒い影がものすごいスピードでアイリに向かって突っ込んできた!


「ドンッ!!」


次の瞬間、ジルが迷うことなく飛び込み、五角大盾でアイリの前に立ちはだかる。

しかし、その黒影の衝撃はあまりにも強烈だった。

盾ごとジルの身体が、勢いよく吹き飛ばされていった──!


幸い、盾のダメージ軽減が間に合ったことで、衝撃は抑えられ、黒影は後方へ弾き返される。


「ジルっ!」


アイリは飛んできたジルをしっかりと受け止め、少し後退しながら、襲撃者の正体を確認する。


漆黒の鎧をまとった、白銀のスケルトンだった――!

やっぱりアイリはどこに行ってもレアモンスターに遭遇するんだね(笑)

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