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第九話 目まぐるしく変わる戦場?(1)

不死生物は、ある程度まで成長すると「知性」を獲得する。


知性を持つ高位の不死生物は、より迅速に力を増していく。しかし、ただ他の不死生物を無差別に殺し、魂の炎を貪るだけでは、効率的な成長とは言えない。それに気づいた彼らは、別の手段を模索し始める。


――それが、「勢力の拡大」だ。


部下が一人増えれば、それだけで力は増す。すべてを自分で行う必要がなくなり、生存率も向上する。こうして、多くの不死生物が自らの配下を持つようになり、やがて「領地」を築くようになる。


順調に進めば、彼らはさらに進化し、驚異的な力を持つ存在へと変貌を遂げる。このように、領地を支配し、配下を指揮する不死生物を、遺忘者たちは「統領級不死生物」と呼ぶ。


しかし――


この死者の大陸では、こうした進化の形は珍しくない。誰かが領地を築けば、他の者もまた自らの勢力を築こうとする。その結果、「領地戦争」は避けられないものとなる。


初期の段階では、同じ地域に二人の統領が存在しても、何とか共存できるかもしれない。だが、時間が経つにつれて双方の勢力は拡大し、限られた資源を巡って争いが始まる。


最終的に、彼らは戦争を始める。降伏も捕虜もなく、戦いは最後の一兵まで続く。勝者は敗者のすべて――資源、配下、そして魂の炎までも――を飲み込み、自らの力とする。


特に、自分と同等の力を持つ統領級の敵を倒し、その魂の炎を吸収したときの成長は、まさに「飛躍的」と言える。統領級の不死生物がさらに強くなるのは非常に困難だが、他の統領を打ち倒すことで、その壁を越えることができる。


……だからこそ、彼らは戦う。それは、不死生物にとって抗いがたい誘惑なのだ。


ただし、こうした戦争は非常に原始的で直接的なものだ。人間の戦争のように、緻密な戦略や計略があるわけではない。たとえ知性を持っていても、そのレベルには達していない。


アガートが率いる冒険者小隊は、過去に数多くの戦場を経験しており、領地戦争も初めてではない。本来なら、驚くようなことではないはずだった。


だが――


魂の連結を通じて、アイリはアガート小隊のメンバーが驚愕しているのを感じ取った。それは、演技ではない本物の感情だった。


このとき、魔導士ヨールがアイリに近づき、低い声で言った。


「アイリ……この二つの軍勢をよく見て。過去に見た不死生物と、何か違いを感じない?」


アイリは、激戦を繰り広げる二つの軍勢を注意深く観察した。そして、すぐに気づいた。


後から現れた不死生物の軍隊は、明らかに「異質」だった。


彼らは地形を利用して包囲を行い、戦闘開始前に巨石を投げ込んで混乱を引き起こし、心理的な圧力をかけた後、一斉に突撃を仕掛けていた。さらに、彼らは鎧を身にまとい、武器を手にしていた。


――彼らは「戦術」を使っていたのだ。


統領同士の知性の差は、勝敗を決する要因となる。このまま戦闘が続けば、勝敗は明らかだった。後から現れた軍勢が、間違いなく勝利を収めるだろう。


しかし問題は、どちらが勝っても、遺忘者たちにとっては大きな脅威となることだ。特に、後から現れた統領は、明らかに「異常なほど賢い」。放置すれば、将来大きな災厄を引き起こす可能性がある。


そのため、多くの遺忘者たちは、こうした状況に遭遇すると、密かに破壊工作を行う。もし利益を得る機会があれば、ためらうことなくそれを利用する。これが、彼らが自らの種族を守るための生存戦略なのだ。


アガートは、この戦争の背後に「黒幕」が存在すると考えていた。これらの不死生物が、ただ古戦場で成長しただけで、これほど成熟した戦術を身につけるとは考えにくい。今回の調査任務は――すでに半分は達成されたのかもしれない。


アガートは深く息を吸い、アイリの方を向いた。


『この戦争を放置すれば、将来我々にとっても大きな脅威となる。だから、我々はこの戦争を破壊する。』


言葉を一旦切り、彼は続けた。


『しかし……これからの戦闘では、君の安全を保証できない。だから、ここで待っていてほしい。ここなら比較的安全だ。』


『うん、わかった。』アイリは素直に頷いた。


アイリは、自分の現在の実力では、無謀に戦場に出ても足手まといになるだけだと理解していた。だからこそ、大人しく待機する方が良いと考えた。


……とはいえ、万が一に備えて準備はしておくべきだ。


アイリは《死息精製》の魔法を発動し、目の前の戦場に漂う死の気配を吸収し、自らの力へと変換した。


その頃、アガート小隊の他のメンバーもすでに準備を整え、戦闘態勢に入っていた。


そのとき――


アイリの脳裏に、ある疑問がよぎった。


(……最初に飛んできたあの巨大な岩、それは……)


どう考えても、骸骨やゾンビが投げたものとは思えない。あの質量、あの速度、まるで「投石機」から発射されたかのようだった。


……まさか。投石機があるのか?


統領級の不死生物が戦術を使うだけでも驚きなのに、もし攻城兵器まで製造しているとしたら、それはあまりにも現実離れしている。


「アガート、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

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